事例300

情報ⅠにおけるPBLを取り入れた問題解決能力の育成

神奈川県立横浜国際高校 鎌田高徳先生

「情報Ⅰ」では、問題解決とよく言われていますが、本当に自分が今まで行った授業で、問題解決能力が付いているのかなとあらためて思い、整理してみ直してみた内容を発表します。

 

聞く人によっては、それで問題解決能力が付いたのかなと思うかもしれません。今日のポイントとしては「生徒が自分で計画を立てて問題解決できるようになって欲しい」と私が思っているということです。

 

今朝、Facebookに、ちょうど11年前の千葉大会のときの自分の投稿が出てきました。毎回思うのですけど、交流してくださる先生方や、運営してくれるスタッフの方々のおかげで、このように毎年続けて発表することができています。あらためて感謝を申し上げます。「情報Ⅰ」を皆さんと一緒に頑張って行きたいなと心から思っています。

 

詳しい自己紹介については、私のサイトをご覧ください。

※1 https://sites.google.com/site/johoeportfolio/home

 

昨年から、横浜国際高等学校へ異動しました。国際科と探究に特化した、とても面白い学校です。本校は国際バカロレア認定校(以下、IB校)ですし、国際科なので、入学式を英語で行いますし、生徒はみんな英語でコミュニケーションを取れます。

 

私は日本語で授業していますが、生徒の中には日本語が苦手な生徒もいます。そうした場合、日本語で分からない生徒のところを、周りの生徒が英語に翻訳して教えていたりします。こうした生徒たちの様子を見ていて、毎回すごいなと思いながら授業をしています。

 

 

また、昨年度に文科省から生徒向けの授業動画(※2)の撮影の話が来たときに、if文やfor文についての動画ではなく、身近な事象に捉えて、「情報Ⅰ」のプログラミングの授業を行っていく必要があると考えていました。そのため、問題解決を含むプログラムや、問題解決のための「情報Ⅰ」でなければいけないという思いで、動画を作成しました。やはり「情報Ⅰ」は問題解決が目標だと思います。

 

※2 https://www.nttls-edu.jp/joho/

 

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そして、2023年12月26日には、毎年恒例の神奈川県情報部会の実践事例報告会を実施いたします。オンライン上でも、ぜひ一緒に「情報Ⅰ」を盛り上げていきましょう。

 

※3 http://www.johobukai.net/

 

本日の私の発表を聞いて、そのまま取り入れられなくても、エッセンスだけでも持って帰っていただければと思います。

 

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生徒が自ら答えを発見し学ぶ授業

 

授業は、先生が計画して実施していますよね。でも私が今回伝えたいことは、「情報Ⅰ」の授業は、数時間だけでもいいから、生徒に問題解決の計画を立てさせて、問題解決を生徒主体でやらせてみませんかということです。

 

問題解決能力で一番身に付けるべき能力は、私は主体性だと思います。自分の思いをスライドで発表してみよう、プログラミングでアプリを作って世の中を良くしていこうといった力を身に付けさせたいと思って、自らこの言葉をキーワードに置いて、授業の中で行ってみて、昨年はうまくいかないこともありましたが、今年もう一度行ってみて、うまくいった部分についてお伝えするつもりです。

 

生徒が問題解決の計画を立てるということは、とても勇気のいることです。でも、学校は、安全に失敗しても良い場所だと思っています。私は授業の最後や単元の最後でも、少しだけでいいから生徒に問題を発見させて、生徒たちの手で計画を立てさせたいのです。

 

 

今回の話は、子どもが初めて補助輪を外して自転車に乗る時と同じ状況だと思っています。子どもらが、たくさん擦り傷を付けながら自転車のこぎ方を覚えていくことと同じです。

 

生徒たちの手で計画立てて実行するというのは、先生が補助輪役で支えている手を離すことなので、うまくいかない部分もあります。授業終わった後、失敗したなと思うのですけど、でもそういった経験は大切ではないでしょうか。

 

 

「情報Ⅰ」の目標は問題解決

 

2023年7月に文科省から、生成AIに関するガイドラインが出されました。問題を発見し、解決するために生成AIを使いましょう。さらに、②使い方を学ぶ段階と③各教科の学びにおいて積極的に用いる段階を往還して、よく日常的に使いましょう、と書いてあります。

 

問題解決は、教室の外に出て、日常生活で活用できて初めて、問題解決できる力だと言えませんか。先生と教室の中で一緒にいる時だけできる学びではなく、教室の外に出た後も学んだことを活用できるところまで持っていきたい。これが問題解決であると、読み解けると思います。

 

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そもそも「情報Ⅰ」は、実際に「情報デザイン」、「プログラミング」、「データの活用」をツールとして、あくまでも問題の発見、解決のために活用するものですよね。

 

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教育研修用教材でも、全ての活動を通して、問題の発見から始めましょう、と書いてあります。だから、各単元の最後でもいいし、1年間の最後のところだけでもいいから、生徒たちに問題を発見させて計画させることを、今回行ってみました。

 

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問題解決のプロセスで学び、社会に出てからも生かせる力を身につける

 

入試対策はどうするのかという部分においては、2022年11月に公開された共通テストの「試作問題」を含め、2020年の「試作問題」、2021年の「サンプル問題」も、過去にいろいろな先生が分析されています。

 

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こちらの井手先生の分析のように、これまで公表されてきた問題は、さまざまな事象と情報を結びつけ、問題解決のプロセスにのっとって問題が作問されています。

 

※4 事例243 様々な事象を情報とその結び付きとして捉える態度を育成する授業実践 井手広康先生

 

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みなさんも、授業の中で、身近な事象に置き換えて、論理回路やコンピュータのシミュレーションやプログラミングを使いながら、実際に自分の考えたものを実行して、問題解決に持って行こうという授業を「情報Ⅰ」の中でされていると思います。

 

 

これは、何のためかと言ったら、家で、1人で本を読んでいてもできない学びを、学校でやらないといけないということですよね。

 

パソコン教室で、生徒たちがパソコンの方だけを見て学ぶのではなく、自分で作成した資料などを元に、議論し試行錯誤していく中で、問題解決のプロセスの中で学んでいくことが、情報科らしい授業だと思っています。

 

ただ、どこかのタイミングで、私たちは補助輪役の手を離して、生徒たちに問題解決させる場面を「情報Ⅰ」の中で少し設けられないかなと考えました。昨年2回実践しているので、その経験を踏まえて実践しています。

 

 

また、よく「鎌田先生は、共通テスト対策はどうしていますか?」と聞かれるのですが、実はしていませんと答えています。ただ、今年の夏期講習で少しだけ行いました。

 

共通テストについては、東京都高等学校情報教育研究会で、水野修治先生も実生活・実社会における課題と関連付けたプログラミングの授業展開について話されていました。生徒たちが高校卒業後、社会に出てから役に立つことを学ばせるということはどういうことなのかと考えて、「情報Ⅰ」の授業をやっていくことが大切ではないかと思っています。

 

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情報科の授業で扱う題材の工夫

 

では、どのように私は「情報Ⅰ」の授業をしているかというと、題材の工夫にこだわっています。こちらのスライドは、私が心から尊敬している柴田功先生の授業設計の話です(※5)。

 

柴田先生は以前より、生徒たちの身近で切実で、解決可能、かつ情報社会をテーマにした題材で、授業をするべきだと主張しています。そうでないと、問題解決にならないと思いますし、生徒が自分のこととして捉えるような題材の設定が肝ではないかと、私は考えています。

 

私は問題解決を最後には教師が手を離して、生徒たちにやらせてみたいのです。まさにこの柴田先生のスライドの「学習活動の工夫」と「評価の工夫」のまま、生徒たちに自分たちで題材を発見させ、最初は自分でアイデアを出して、企画書を作り、チームを作り、議論をして、計画を立てて、評価の基準も作るという活動を、授業の中で行っています。

 

※5 事例174 今こそ情報科の不易流行を考えよう~指導主事・管理職の視点から 柴田功先生

 

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文科省の「情報Ⅰ」の授業動画でも同様に、題材を身近なものにしています。題材の設定こそが、「情報Ⅰ」の授業づくりのポイントだと私は考えています。

 

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問題解決のサイクルを繰り返すことで、ノウハウとプロセスを身につける

 

何より、身近な題材で問題解決することを授業のプロセスの中で行うことがすごく大切だと考えています。

 

なので、普段の問題解決の授業では、教師が話すのは10分くらいです。残りの時間は、生徒たちに活動させる時間を毎回取ることが重要です。

 

普段の授業で、問題解決のサイクルを回しながら、ひたすら生徒たちに活動させたり、議論させたりしていると、問題解決するノウハウとプロセスが生徒たちの中に入っていきます。そうすると「じゃあ最後に、きみたち問題解決をやってごらん」というときに、安全に手を離せると思うのです。そうした授業設計が、今目指している私の中での「情報Ⅰ」のゴールです。

 

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昨年、かんき出版より『高校の情報Iが1冊でしっかりわかる本』を出させていただきましたが、この本を引き受けたときに、執筆内容において、まったく制約がありませんでした。なので、全て「問題解決」をテーマにこの本は書いています。皆様の参考になればと思っています。

 

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私の著書の中でも、問題を発見する、解決方法を考える、実行する、評価する、全部問題解決のプロセスです。普段の授業も、毎回このサイクルで授業をしています。評価も、次の時間の最初に振り返りとしてフィードバックしています。このミニサイクルをぐるぐる回し続けることによって、生徒たちに、普段の授業から問題解決のプロセスを身に付かせることが重要ではないかなと思っています。

 

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そもそも問題解決について、調べてみたところ、ジョン・デューイが、課題や問題に対して自分から仮説を立てて解決策を実行していく、考えるということであり、それが探究なのだ、と言っていて、問題解決型学習(以下、PBL)とまとめられています。その中に、生徒が計画し、という一文も見つけ、これだなと思いました。

 

よくよく考えてみると「情報Ⅱ」の中で「探究」がありますよね。この意味って何なのかなと考えるときに、「情報Ⅱ」の中で、本当の問題解決をしようと思ったら、探究的な要素と「情報Ⅰ」の中で問題解決を生徒たちにさせていくことが重要ではないかと私は考えています。

 

 

主体性は世の中を変える原動力

 

こちらは、先日、神奈川県高等学校情報部会研究大会で、田崎調査官にご講演いただいたときの資料です(※6)。

 

「自分で国や社会を変えられると思う」という項目に「はい」と答えた人が、27%なのです。この数値が低いことに対して、どうにかして、生徒たちの自信を付けさせたいと思っています。

 

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そして、社会に出るときには「主体性」や「課題設定・解決能力」が一番必要とされています。

 

でも、私たちは本当に、生徒たちが自信を持って、自分からこれをやってみよう、という主体性を身に付けるような授業デザインができているのかと思いながら話を聞いていました。

 

例えば、教室が汚いときに、先生から指示があって掃除するのは、主体性がある掃除とは言えません。しかし、「なんか教室が汚いな、俺が掃除してやろう」と生徒自ら行動する。これが主体性ですよね。情報科の先生が、「なんか知らないけど「情報Ⅰ」の発表をしてやろう」と思い発表する。これも主体性ですよね。主体性は、世の中を変える原動力なので、それを身に付けたいということが、今回の授業デザインの中での私の中でのゴールでした。

 

※6 令和5年度 神奈川県高等学校情報部会研究大会 教科情報の現状と展望 田崎丈晴先生

 

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教科情報のPBLにおける知識の定着や評価の課題

 

過去のPBLの授業をいろいろ調べて読み解き、生徒たちの発表や振り返りを見ると、探究的な活動をして、生徒たちが自信を付けたり、試行錯誤することを楽しんだという事例があります。

 

村松卓先生の発表をあらためて見ると、主体的に取り組む態度が身に付いたという事例はもちろん、生徒同士がコンテンツを評価しています。

 

社会に出たら、人が作ったものを評価する力は、すごく大切ですよね。学校の中では、先生が評価することがメインですけど、生徒同士で評価して、それを問題の次の改善に向けていくというのは、とても重要なプロセスです。

 

ただ、2つとも課題として挙げているのが、知識の定着や評価をどうするかということです。私は、生徒たちが、問題解決を終えたときに、もっとやってみよう、新しいことをチャレンジしてみよう、自分で計画を立てて何かやってみよう、といった気持ちになれば、それで良いのではないかと、最近思い始めました。

 

なので、生徒は失敗するかもしれないけど、勇気を持って、生徒が計画を立てて実行するということを授業の中でチャレンジしてみました。

 

※7 事例82 宇宙エレベーターをテーマとした課題解決型学習(PBL)  小林道夫先生

 

※8 事例164 PBLの観点を踏まえた情報デザインの授業実践報告 村松卓先生

 

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知識や技術を指導するプロセスの工夫の必要性

 

こうした授業をして、いつも私が苦しんでいるのは、生徒たちが頭の中で考えたアイデアで問題解決をするときに、計画書を立てさせても、失敗していくことなんです。昨年度、失敗していた理由としては、プロセスの工夫が足りなかったからだと感じています。

 

 

「情報」の授業の魅力は「世界に一つだけのものを創り出せるかも」ということだと思います。

 

間辺広樹先生がおっしゃっていますが、生徒のアイデアについて、教師は指導できないのですよ。生徒たちが考えた、こんなアプリだったら自分の高校生活が良くなるに違いない、というアイデアを実現するために、われわれが知識や技術をうまく指導するプロセスの工夫が必要だと考えています。

 

 

習得と活用の往還と、探究につなげるプロセス

 

高等学校学習指導要領(平成30年告示)解説総則編の中で書かれているとおり、習得・活用・探究のプロセスで、しっかり設計すれば探究になるのではないかと思いました。

 

 

私たちは、教えるから学ぶにいくときに、普段の授業の中で、手法プロセスに沿って、ある程度の力とスキルを身に付けた後、生徒に学ばせる、先生は見守る、というプロセスに行くことが大切ですけど、この設計が非常に難しいと感じています。

 

 

その中で、昨年、須藤祥代先生が、神奈川県の実践事例報告会で発表していたように、習得と活用の往還と、探究につなげるこのプロセスの授業デザインが必要だと思い、このことを意識して授業を行ってみました。

 

※9 事例253 習得・活用・探究の学習プロセスで授業デザインしたコンピュータとプログラミング 須藤祥代先生

 

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既存の知識と課題の把握をして、新しい知識を獲得する。そして、前の時間に学んだ知識の上に新しい課題、といったように、階段上に知識や技術を積み上げていくことを教員自身がイメージできないと、探究で問題解決をやりなさいと話しても失敗します。なので、このプロセスを意識して授業デザインを行っています。

 

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学びの成果の証拠をどのように示すか生徒に決めさせる

 

プロセスを工夫するという点で、計画を立てさせる際に、生徒たちにプロジェクトの企画書とルーブリックを作らせました。

 

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本校は、IB校ですので、CAS(Creativity, Action, Service)という活動をしています。その中では、自分がどういう証拠を残したら成長した、という学びの成果を示す証拠を記録します(※10)。

 

そのため、今回、企画書には、自分が問題解決の中でこういうことをやりたいと言ったら、何をもってそれが達成できたかという証拠を、生徒たちに決めさせて書かせました。これは結構、勇気がいることでした。

 

※10 IB DP科目概要

 

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このように、生徒たちがプログラミングでコンテンツを作っているときに、こういったコンテンツを作れて、こういったコンテンツのこの基準を満たしたら、自分たちで建てた目標が達成できたと言えるという証拠を生徒に決めさせて記録させています。

 

これがポートフォリオです。ポートフォリオのプランを毎回つけておいて、活動する前に計画を立てて、それが実際にできたかというのも、ポートフォリオとして記録させて、成果物をGoogleドライブに全てアップしなさいとしました。

 

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ルーブリックを生徒たちに作らせる

 

そして、もう一つ勇気がいることだったのが、ルーブリックを生徒たちに作らせるということです。

 

作ったルーブリックは2つです。これについて、影響を受けたのが、三宅喜久子先生です。三宅先生は、ルーブリックは生徒と一緒に作る、もしくは生徒に作らせるという活動をされています。それを参考に作らせてみました。

 

そして、プロジェクトの最後に、プロジェクトメンバーで、自分たちがどのように成長したかという5分間の動画を作って提出しなさい、という課題を出しています。その課題の条件は、ポートフォリオの根拠を基に動画を作ることです。

 

また、プロジェクト全体の評価のルーブリックと、個人のルーブリックを作っていますので、自分がプロジェクトに対してどこまで貢献できれば、プロジェクト内で自分が問題解決できたかということを、生徒同士で作らせて評価をさせています。

 

 

主体的に学習に取り組む態度の評価は、こちらが作ってもいいのですけど、今回は、自ら学習を調整しようとする力と、粘り強く取り組める物差しを生徒たちに作らせてみました。

 

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そして、企画書を作るときは、いきなり計画を立てるのではなくて、アイデアを出して、自分のアイデアを持ち寄ってから作るようにしました。そうしないと、好きな人同士で作業してしまうので、工夫として取り入れました。

 

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文化祭の情報デザインをつくる

 

とにかく、習得・活用を往還しながら探究に持っていく流れにしています。

 

「情報デザイン」の分野も、抽象化や可視化、構造化を学んだ後、実際にポスターを作らせ、その後、文化祭の情報デザインを作る企画にちょうど入っているところです。

 

文化祭の準備期間の前までに、計画書と評価基準、また、どんな情報デザインを作ればいいかというプロトタイプまで作らせます。そして、実際に文化祭の最中に作り、それをどう評価するかも、今回は生徒たちに決めさせています。

 

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まだ進行途中の授業ですけど、ポイントとしては、生徒たちが写真を撮って、実際に文化祭の最中に、作ったデザインを参加者にインタビューすることや、評価をさせようと思っています。

 

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Micro:bitを使って商品開発をする

 

また、Micro:bitを使って商品開発をする問題解決の授業もしています。これも習得と活用の往還をしながら、探究まで行っています。

 

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具体的には、自分たちの高校生活において、身近な問題を解決する商品開発をしようという授業内容です。

 

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生徒たちにとって身近な問題というのは、例えば、われわれは何も考えずにメッセージを送っているので、メッセージの意図を考えて送信したほうがいいと考えて、Z世代のポケベルを開発したり。

 

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あるいは、受験のストレスを癒やしてくれるペットをMicro:bit上で飼うというアプリを作った生徒もいます。

 

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生徒自ら計画する授業デザインを

 

大切なのは、生徒たちが自ら計画を立てて問題解決をする活動を、「情報Ⅰ」の授業の中で少しでもいいから確保することだと思います。

 

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生徒たちは、自分の身近なことであり、問題解決につながったと言っています。

 

ただこれが、本当に問題解決能力が付いたかどうかは、すぐには分からないと思います。だから、こういった活動を「情報」だけではなくて、いろんな教科で普及していくことが重要だと考えています。

 

■質疑応答

 

Q1.

プログラム開発で例えると、仕様書を作る訓練をしているように見えました。確かに仕様書を作ることや、価値判断を意識することは大事だと思いますが、基本的なプログラミングのスキルを習得しないと、結局、何がどこまでできるか具体的に分からず、絵空事になってしまうような気がします。時間をかけて体系化された知識をしっかり授けて、積み重ねすることのほうが大事なのではないでしょうか。

 

A1.鎌田先生

私の個人的な意見にはなりますが、生徒たちに、先生と同じものを作りなさいとか、この枠の中で作りなさいというものよりも、自分たちで計画を立てさせて、自分たちでこの問題を解決したいと思って作る学習活動では、生徒のフィードバックから得られるコメントの内容が、今回の発表のように全然違うと感じています。

 

今回の発表でお伝えしたいことは、われわれの授業改善も同様ですけど、社会に出たときに、自分の仕事を達成したというエビデンスは、結構自分で決めているものですよね。こうしたら良い授業になりましたというのは、数値化できないものです。こうした数値化できない生徒の主体性を育む学びを、学校の授業の中で少しでもいいからやるべきだと思っています。そういった思いで発表しました。

 

あともう一つは、基本的なプログラミングを身につける、あるいは体系化された?プログラミングの知識を重視した時に、生徒たちの様子を見ていると「プログラミングの勉強をして、将来何の役に立つの?」という反応がすごく多いと感じます。

 

何のためにプログラミングをやるの?と生徒に説明する時に、プログラミングを通してつくりたいもの、つまり生徒たちの登りたい山の景色を見せないといけないと思います。または、たどり着けなくても、こういった方向のためにプログラミングがあること、そしてそういったものを将来作れるかもしれないし、プログラミングによって世界を変えるようなアプリが作れるかもしれないというものを見せる必要があると思います。

 

少しでもいいから、そういった風景を見せるような授業を「情報Ⅰ」の中で行ってみてはどうかという意図があるので、プログラムを基本として教えることに関してどちらがいいかどうかは、私は正直なところ判断がつきません。そもそも学習指導要領の中に、問題解決のツールとしてプログラミングを行うことと記載があるため、それに沿って実践しています。

 

私は、少しでもいいから「情報Ⅰ」の授業の中で、われわれの手を離して、生徒たちにできるものを作らせるという活動をさせたいという思いで、授業を行っています。

 

第16回全国高等学校情報教育研究会全国大会(東京大会) 口頭発表より