アフターGIGAは次なるステージを目指して 端末整備から教育DXの実現へ 

New Education Expo2022

国内最大級の教育機材・ソリューションの展示会「New Education Expo2022」が開催されました。今回も、新型コロナの感染対策を行った上での会場開催となりました(東京会場: 東京ファッションタウンビル、6月2~4日、大阪会場:大阪マーチャンダイズ・マート、6月10~11日)。

 

今回27回目となるこのイベントでは、今年も約100社の企業展示、東京・大阪合わせて約120のセミナーが開催されました。

 

小中学校では1人1台端末がほぼ行き渡り、企業展示では、「アフターGIGA」と銘打って、教材やシステムを使って「何ができるか」よりも、「先生や生徒のニーズをどのようにすくい上げているか」というアプローチがこれまで以上に目立ちました。

 

また、高校で新課程「情報I」がスタートしてプログラミングが必修になったことを受けて、プログラミングの教材では、ベースは小中学生用であっても、高校での学習まで視野に入れたものが出てきていました。

 

今回のイベントテーマは、「学びの未来を、共に拓く」。高校の新学習指導要領がスタートし、まさに教育DX元年とも言うべき、新たなステージが始まろうとしています。

 

 

■セミナーレポート

【基調講演】

 「令和の日本型学校教育」の推進のための情報化の動向

  東北大学大学院/東京学芸大学大学院 堀田龍也先生

 

【パネルディスカッション】

 国立大で必須化、教科「情報」の大学入試に備える

  京都精華大学 鹿野利春先生

  東京都立神代高校 稲垣俊介先生

  河合塾 富沢弘和氏

  [コーディネータ]日経BP 中野 淳氏

 

  パネルディスカッション

 

 

 

【ワークショップ】

 矛盾する情報を読み解くスキルを身に付ける学習活動とは~ポストポスト真実時代の情報リテラシー育成に向けて

  専修大学   望月俊男先生

  ラドガース大学大学院 クラーク・A・チン先生

  神戸大学大学院  山口悦司先生

  神奈川県立生田東高校 大石智広先生

 

 

■展示レポート

1人1台端末に対応した印刷環境の提供

GIGAスクールで1人1台端末が行き渡ったとき、問題になるのがプリンタ―です。従来プリンタ―は職員室やパソコン教室などに設置されているだけで、授業の中で生徒の作品やワークシートを印刷して使うことはほぼ不可能でした。EPSONは普通教室の大型提示装置や書画カメラ、生徒の端末とインクジェットプリンターをつないで、スムーズな印刷を実現。パスワード管理で、無駄な印刷をコントロールすることもできます。

 

プリンタ―の導入プラン「アカデミックプラン」の特徴は、規定印刷枚数までは、カラー/モノクロの制限なく出力可能であることです。現場の先生へのヒアリングで、授業の場面で印刷したいデータは、カラーとモノクロがほぼ半々ですが、カラーはコストがかかるため、諦めざるを得ない、ということから、このサービスが導入されました。印刷できる規定枚数は年次で管理するため、例えば、印刷枚数の少ない夏休みの分は他の月に廻すこともできます。また、教育委員会単位で導入すれば、学校の規模によって印刷枚数やコストのばらつきを平準化することもできます。

 

広角/ズームを手元で切り換えられる自動追尾カメラ

コロナによる休校や分散登校で、期せずしてオンライン授業に対するハードルが下がり、対面授業が戻ってからも予習や授業のまとめのための動画を活用する場面が増えてきました。

 

動画の撮影で意外に面倒なのが、広角とズームの切り替えです。

 

手元の資料や先生を映したいときと、大型提示装置や黒板などを大きく見せたいときに、いちいち撮影をストップするために流れが寸断されたり、他の先生にカメラを担当してもらったりすることになります。

 

Averの自動追尾カメラは、AIが人物を検知して自動でカメラを動かすため、カメラアシスタントが不要になります。また、広角とズームを手元で切り替えられるので、スムーズな進行が可能です。このような「ちょっとした課題」をつぶしていくことで、教員にとっては使い易く、生徒にとっては集中を切らさず学びを進められる環境が作られることを感じました。

 

高校のプログラミング教育につながる教材

高校の新課程「情報I」が始まり、プログラミングが必修となったことで、従来出展されていたプログラミングの教材で目についたのは、小中学生向けのブロックプログラミングや日本語のプログラミングの発展形として、同じ課題をPythonなどの言語で行うステップが組み込まれたものが登場したことです。

 


 

同じ課題をさまざまなレベルで扱うことで、小中学校のadvancedの生徒には早くから実社会で使われる言語にチャレンジすることができますし、逆に高校段階で躓いた生徒には、前のステップに戻って学び直すことが可能です。

 

特に公立高校では、今後は中学校までのプログラミングの経験の差がこれまで以上に拡大することも予想されるため、生徒のレベルに合わせて同じ題材でも幅広いステップの教材を準備することが必要となってくることを感じました。

 

理科の実験装置もプログラミングとの連携がデフォルトに

小学校でのプログラミングの経験として、6年生の理科の「電気」では,電気の効率的な利用をとらえる学習として,センサを使って発光ダイオードの点灯を制御するようなプログラミングが取り入れられています。

 

そのため、回路に接続するスイッチも手で操作するだけでなく、プログラムによって制御ができるものがデフォルトとなり、様々なセンサやマイコンボードなどとつないで、発展的な学習ができるようになっています。

 

■取材を終えて

 

コロナ禍3年目の今年は「withコロナ」も日常の一部となり、展示ブースにもセミナー会場にも活気が戻ってきたように感じられました。

 

小中高で新学習指導要領がスタートし、1人1台端末の整備が進む中、「令和の日本型教育」がいよいよ本格的に稼働することになります。高齢化が進み、これまでとは社会の環境も働き方も大きく変わるのに合わせて、その社会を担う子ども達の教育のあり方も、また大きく変わることを余儀なくされています。堀田先生の基調講演にもありましたが、GIGAスクールで端末が行き渡ったことで、単に従来「紙と鉛筆」で行っていた活動を端末で代行するのでなく、端末を使うからこそできる「個別最適な学び」と「協働的な学び」にシフトするために、今年はまさにそのスタート地点となることを感じました。

 

セミナーでは、教育DXや自治体DX、教育データや学習ログの活用など、DX(デジタルトランスフォーメーション)をテーマとした様々な講演が行われました。現時点では先進的な事例や構想の段階ですが、1人1台端末がそうだったように、いずれはこれを実現するシステムや機材が開発され、整備されることによって、「進化したデジタル技術を浸透させることで、人々の生活をより良いものへと変革する」というDXの目標が、全ての学校で実現することとなるでしょう。

 

高校の新課程の「情報I」は、2年半後の大学入学共通テストに導入が決まり、国立大学の入試は「6教科8科目」という新たな局面を迎えることになります。一方で教育DXによって学習ログの蓄積が進むことで、入試のあり方自体もいずれ変化せざるを得ないことにもなるでしょう。