情報入試フォーラム2013報告

「情報入試研究会」と「情報入試フォーラム」について

~2016年に教科「情報」入試の実現を目指して


高校の情報科の教育が思わしくない遠因は、大学入試!?

 

21世紀に入り、情報の技術は社会全体に行きわたり、産業の創出の多くが、情報分野の知識・技術を活用するまでになっています。その意味で、若い人誰もがその知識・技術を学び、高めて、社会に出て行くことは、若い人自身の将来にとっても、社会の発展にとっても、不可欠なものになっています。


そのような背景を受け、高校では、2003年から情報科が必須科目として教えられるようになったはずでした。しかし、必ずしも、時代のICT化の進展に対応するように充実化が図られてはきませんでした。


その原因の一つは、高校教育が大学入試の教科を重要視する傾向が強く、一方で、情報科が入試で出題されるケースが圧倒的に少ないことも関係しているようです。そのため情報科を本格的に大学入試に取り入れた方がいいという意見はありましたが、その意見は主流になるまでにはなってきませんでした。

 

2012年3月に「情報」入試に向けた計画公表、この5月に最初の試行模擬試験

 

しかし、ますます社会のICT化は進み、そしてまさに今年度から改訂された新しい学習指導要領での教育が始まるこのタイミングに、高校教育での情報科を後押ししていくために、大学の情報系学界に属する有志の研究者が集まり、昨年3月に生まれたのが、この情報入試研究会です。


そして、その発足の際、共同代表をつとめる慶應義塾大学環境情報学部長の村井純先生が講演で示された、「新指導要領で学んだ高校生が卒業してくる2016年に、本格的に情報入試が多くの大学で始められるように、2013年から15年まで毎年その実施に向けた試行の模擬試験を行う」という目標のもと、情報の大学入学試験の検討を、情報分野の学界の研究者が中心になって、行ってきました。


そして、今回3月3日(日)に筑波大学で実施された「情報入試フォーラム」では、5月18日に実施する最初の模擬試験の実施要領を発表しました。


さらに、この2年に渡って準備をし、今年入試科目に「情報総合」という科目を取り入れた明治大学情報コミュニケーション学部の実施報告や、2016年にその実施を発表した慶應義塾大学の計画についての発表、また情報入試研究会で検討されてきた試作問題の解説などがされました。

 

※情報入試研究会の活動や計画については、久野靖先生のインタビューで詳細をご参照ください。

 

◆2013年3月3日 情報入試フォーラムプログラム


開会の挨拶 筧 捷彦氏(早稲田大学)

1.  第1回情報入試模擬試験のご案内 植原 啓介先生(慶應義塾大学)

2.試作問題#001解説 久野 靖先生(筑波大学)
3.愛知教育大学 普通教科「情報」入試10年間の総括 竹田 尚彦先生(愛知教育大学)
4.明治大学情報コミュニケーション学部2013年度情報入試について 山崎 浩二先生(明治大学)

5.慶応義塾大学 総合政策学部/環境情報学部2016年度入試について 村井 純先生(慶應義塾大学)
6.文教大学情報学部の入試制度 佐久間 拓也先生(文教大学)  

7.パネルディスカッション 教科「情報」の入試をめぐって
 ※パネリストは松永賢次先生(専修大学)、佐久間拓也先生(文教大学)、

  滑川敬章先生(千葉県立柏の葉高等学校)、工藤浩之さん(電気通信大学・学生)、

  本原拓也さん(愛知教育大学・学生)、堀尾篤秀さん(愛知教育大学・学生)の6名

閉会の挨拶 村井 純先生(慶應義塾大学)