取り組み

情報科教員を目指す学生へを支援する ~インターンシップの実施

横浜清陵総合高等学校 五十嵐誠先生


現役の学生にはハードルが高い?情報科教員への道

五十嵐誠先生
五十嵐誠先生

神奈川県では、2007年度から情報科教員の採用を継続しています。6年間で30人が採用されましたが、その配属先は、半数以上が総合学科か、情報コース等を持っている学校です。今年度も3人が採用され、全員新卒ではありません。神奈川県では、2008年から複数免許所有が条件になったため、在学中に他教科の免許を取得することが必要になります。さらに採用数の少なさも相まって、情報科教員への道を諦める学生が少なくないことが考えられます。

 

教員を目指す学生は、大学4年生で教育実習をするために、大学3年生の5月には出身校に受け入れを打診する必要があります。この際に、出身校の情報科が非常勤講師のため、実習生を指導できない等の理由で、情報科の教育実習を断られる場合があります。教育実習を、他の科目で代行する事例もあるようです。このような経験をすると、情報科教員を目指すモチベーションが下がってしまいます。さらに、採用試験の1次(筆記試験)に合格しても、2次試験で模擬授業が課される場合が多く、他科目の教育実習を行っていては、そこで教育実習の成果を生かすことができません。そして、この模擬授業がとてもたいへんで、現役の学生には特にハードルが高いのです。

 

そこで、横浜清陵総合高校では、情報科教員を目指す大学3年生を対象として、夏休みの短期集中講座「DTP基礎」(※次項参照) を核とした10日間のインターンシップを実施しています。総合学科高校では、専門教科情報のほかに多彩な学校設定科目があるので、幅広い分野で力を発揮できる情報科教員が必要です。そのため、わが校の情報科教員のメンバーは、専門的な科目開発に取り組むことができる教員を養成することが必要であると考えて、2005年度からこのインターンシップを実施しているのです。

 

指導の方法だけでなく、生徒の成長を実感できる経験を与える

「DTP基礎」は、1単位の選択科目で、8月に6時間×6日間の日程で行います。神奈川県内の総合学科に在籍する高校生に履修を開放しており、毎年複数の学校の生徒がこの授業を履修して単位を修得しています。インターン生は、受講生よりも一足先に実習を済ませて指導のポイントを共有し、授業ではティーチング・アシスタント(TA)として実際に生徒の指導にあたります。これを通して実際の指導の方法を学ぶと同時に、1単位の授業で生徒がどのくらい成長するかを実感することができます。

 

10日間のインターンシップでは、授業のリハーサルやTAとしての活動だけでなく、授業外の時間で実際の教材を使用して3DCGや画像処理、映像編集、スキャナの操作やプリンタのメンテナンスなど情報科の教員として必要な技術も学びます。このインターンシップが教育実習と異なるのは、教科指導に専念した実習であること、生徒とともにDTP技術を学ぶことができることがあげられます。さらに、終了後も2か月に1回の割合でフォローアップの学習会を実施し、教職への意欲を高めて採用試験の準備に臨むのです。インターン生同士の集団討議も行うので、いわば、教員採用試験の模擬授業のさらに模擬授業とも言えましょう。

 

さらに、このインターンシップを通して、インターン生同士、さらに若手教員とのつながりができます。また、大学の教員が学生を送り出す高校の現場を知ることにつながっています。今年(2013年)も8月11日(日)からの「DTP基礎」を中心にインターンシップを行う予定です。受け入れの都合で、1大学から1人ずつ、4人まで受けいれる予定です。


現場にとっても学生にとっても大変有意義な機会ですが、今年度いっぱいで、私が横浜清陵総合から異動しなければならないので、他の高校でもぜひ実施できるような体制ができればと願っております。