未来に向けた大事なこと

~キミは、何を学ぶか。どこで学ぶか。

※高校生向け冊子『キミのミライ発見』より

社会人が学生時代に学んでおきたかったと考える教育は、「使える語学教育」「IT に関する知識・スキル」「自分で考え、作り、調べ、提案する授業」などでした(表1)。高校の教科でいうと、主に「英語」、「情報」、「総合的な学習の時間」などにあたるものです。

IT を学ぼう

 

今やどの仕事でもIT の知識・スキルは必要となります。具体的な知識・スキルを表2 に示しました。高校の「情報」の授業で学ぶことは、すべてIT 知識・スキルとして将来役に立つはずです。大学や専門学校では、IT を専門に学ばない人も、IT を学ぶ機会を積極的に活用しましょう。例えば、大学では、「コンピュータリテラシー」や「情報と社会」などの科目を学んだり、学内で開講される講座で学んだりするとよいでしょう。

表2 大学や高校で学んでおきたい「どの仕事でも必要となるIT 知識・スキル」

◆仕事でパソコンやインターネットを扱う社会人として、最低限必要なIT の知識・スキル

・コンピュータリテラシー

(Word・Excelなどのオフィスソフトウェアの活用、コンピュータを用いた文書作成やプレゼンテーション、Twitter・電子メール・ Facebookなどのコミュニケーションツールなどの正しい活用法、情報化と社会、ITに関する法、情報倫理とセキュリティ)

・プログラミング

・情報システム

* 情報処理学会が作成した「カリキュラム標準J07」の中で詳細を参照できます。J07-GE(一般情報処理教育) は文系・理系を問わず必要なIT 能力を提示しています。また、情報専門教育についても5 つの領域を提示しています。

詳しくはこちら

 

問題解決能力や思考力も大事

 

社会人は、「自分で考えて、調査し、作ったり、提案などをまとめたりする授業」で課題発見能力や問題解決能力を高めたり、「論理的思考力やコミュニケーション力などを高める授業」で、思考力や表現力を付けることが大事だと、社会に出て実感しています。これらは、これからの社会で生きていくための力、社会で活躍するための力であると言えます。「情報」の授業でも、問題解決能力や表現力を付けることができます。

学習指導要領では、変化の激しい社会において、「生きる力」として、「知識や技能」だけでなく、課題発見能力、問題解決能力、表現力、判断力、思考力など「確かな学力」の育成を必要としている。

→文部科学省の「確かな学力」のページなど参照 ⇒こちらから

 

社会で活躍するのに必要となる力は、「前に踏み出す力」「考え抜く力」「チームで働く力」

→経済産業省が提唱する能力の概念「社会人基礎力」 ⇒こちらを参照

学部・学科選びは仕事の入り口

 

大学・専門学校の学部・学科では産業に関わる専門性を学ぶため、学部・学科選びは将来の仕事の方向性を決めるものになります。一般的には、表3 のような関連性があります。

 一方、社会人に「自分の仕事にとって、どの学科で学んでおくべきだったか」か聞いたところ、ビジネスとの関わりを持つ経営・経済・会計やIT、その他には語学、法律、電気、心理などを挙げた人が多くいました(表4)。また、文科系出身者が多く就いてきた仕事でも、例えば、広報や宣伝の仕事をする人の21%、事業や商品の企画を行う人の19%、販売や接客の仕事の人の11% が、情報工学系の学科で学んでおくべきだったと答えています(表5)。

IT プラス他の分野を学ぶ

 

社会のあらゆる分野でIT が利用されるようになったことで、専門分野はIT 以外であっても、大きな教育の柱としてITも学ぶことができる学部・学科も増えてきています。社会情報学・情報社会学(青山学院大学、静岡大学など)、経済情報学(広島修道大学など)、文化情報学(同志社大学など)、環境情報学(慶応義塾大学など)といった名称の学部・学科です。また、経営を学ぶ学部で、同時にIT を学んだり、機械や電気を学ぶ学部で、同時にIT も学ぶという方法もあります。

 

 

グローバルで活躍するための力も付けたい

 

産業のグローバル化を反映して、語学力に対するニーズは高まるばかりですが、語学力も含めて、グローバルに活躍していくために求められる力は表6 のようになります。このような能力の育成を目指すのが、国際教養系の学部です。

これらの学部では、授業の全部あるいは大半を英語で行ったり、留学を推奨したりと語学力育成に力を入れると同時に、グループでの調査・研究など能動的な学習活動を学生に求めます。例えば、国際教養大学、国際基督教大学、立命館アジア太平洋大学、早稲田大学国際教養学部などの大学です。

 

表6 新卒採用時に特に重視されるグローバル人材として必要な能力

・社会人基礎力グローバルな環境でのコミュニケーション・スキル

・英語能力

・グローバルな環境でのチームワーク・リーダーシップ力

・不確実性を許容する力

・異文化理解能力

・日本を取り巻く世界情勢に関する知識

・英語以外の語学能力

※2009 年度経済産業省 /「グローバル人材の育成に関する調査研究」より

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