キーワードは「安い・早い・うまい」

~考える力・表現する力を育てる無料アプリの活用事例

関西学院千里国際中等部・高等部 合志智子先生

vol.3 今後は、BYOD(Bring Your Own Device)。より探求型授業やSGHプログラムへの活用へ

「iPad内科診断」と「Digital Citizenship Map」で生徒の自覚を促す

ipadを導入して4年目になりますが、今まわりを見渡すと、皆がごく自然に使っているという感じです。導入当初は、生徒から「使い方が分からない」とか、「こんなもんを使わせるから、余計訳がわからなくなった」とか、けっこうグチも聞きましたが、今は生徒同士でどんどん情報が行き交って、「おお、いい使い方をしているね」と教員の方が感心するような場面も増えてきています。

 

本校の場合は、生徒に持ち帰って自宅や通学時間にも使ってもらっていますので、問題がないわけではありません。そのために、最初に生徒に次のスライドにあるような、「デジタル市民として期待する像」を提示して、どの年齢でどのような情報モラルを身につけていくのか、情報リテラシーはどういうものかいうことを伝えます。そして、生徒に注意する時や全体に対して話をする時も、このマップに基づいて話すという姿勢を取っています。

それから、見ては困るサイトやダウンロードされたら困るアプリなどは年齢制限を設定することができます。そのパスワードは、生徒が知らない形にしています。さらに、本当に正しく使われているかどうかを調べるために、結構効果的な方法があります。普通学校では年に1回「身体測定」が行われているはずです。視力検査や身長・体重など生徒自身の身体測定の場に、「iPad内科検診」という部屋を設けてもらい、4名の教員が高校生全員のiPadを見せてもらって個人で面談をします。その時に、教員は「ゲームは消して来い」とか「これは何?」とは一言も言いませんが、身体測定直前の春休み中に「こういうのを見せたら先生に何か言われるかな」と自分で考えて、けっこうきれいにして持ってきます。なので、年に1回、棚下ろしができているという感じです。もちろん、そこでは故障がないかとか、「こういう使い方はどうかな」、「使ってみて良いなぁと思ったアプリを教えて」みたいな話も個人個人でしています。やはり教員と生徒との対話がとても大事であり、保護者にも説明が大事だということですね。

モラルの指導をする際には、「スマホにひそむ危険」というiPadのアプリを使っています。これは、よく高校生の間で起こりそうな事例を、LINEのような、生徒が興味を持つ形で紹介しているものです。これも無料ですが、けっこう便利です。

 

Educational Technology Team・Techサポート・管理職の三本柱の推進体制

自分達で導入してみた感想です。 iPadやタブレットを導入したい、推進したい、という時には、学校の中に専門の推進の部隊が必要であると感じています。


本校は、Educational Technology Teamという、教務の教員・教頭・情報科の教員・社会科の教員の4名でこのチームを作り、さらに学校のネットワークやパソコンの世話を全部しているTechサポートのチームと、管理職という三つの組織が共同でiPadプロジェクトを支えています。


ETTというのは、いろいろな問題があった時や、次のステップに行きたい時、またiPadだけでなく今後の学校のICTのあり方の方針を決めたり、といったことを実際に推進したりするチームで、やはりこの存在は大きいと思います。

本校では、もともと生徒に獲得してもらいたい力として「考える力」「表現する力」「分析する力」「問題解決力」「発表する力」を挙げ、こういう力がつくような授業をしてきました。昨年秋の新聞でも、これからは知識量ではなくて、こういった力を問うような入試に変わっていくということが報道されていましたので、本校でもこのあたりを一層重点的に授業に取り入れて、底上げするようにしたいと思っています。

 

BYOD(Bring Your Own Device)をより探求型の授業につなぐ

2017年度から生徒のデバイスは、Bring Your Own Deviceということで、「何を持ってきてもいい」ということらなります。この「何」のところに「ちょっとこれは困る」ということの条件は入れますが、どのメーカーのタブレットか、パソコンなのかわからない状態になりますので、情報科の教員としてはけっこう大変です。今までなら全員同じiPadなので、同じアプリを使うことも簡単にできましたが、今度はどこのタブレットを持ってくるかわかりませんから、「いや、私のタブレットにはそれがない」とかになる可能性もあります。そうすると、授業のやり方自体、また変えていかないといけません。

これがちょうど1年半後ということになります。もともとはWindowsのパソコンばかりだったところに、One-to-one ComputingということでiPadが入りました。そして、次はBYODに変えていくので、情報科でいえば、より探求型の授業ができるかと思っています。

SGHのプログラムにもICTを活用

さらに、本校はSGH(Super Global High School)の指定を受けていますが、SGHのプログラムでもどんどん活用していきたいと思っています。


本校の構想としては、「高い国際通用性を有するレジリエンスに富むグローバルリーダー育成」という固いタイトルが付いていますが、要は、アクティブラーニングやICTのスキルや、語学力を身につけて、粘り強く折れない心を持った、世界中の国々や人々に役に立つ、そういう生徒に育ってほしいというプログラムを二つ用意しています。それがグローバル課題研究と、高度探求プログラムです。

 

グローバル課題研究というのは、要は、研究論文を書くことです。これは全員必修で、リサーチとフィールドワークをしっかり行いました。ちょうど先週、第一陣がオーストラリア国立大学の太陽地球環境研究室にフィールドワークに行きました。その後で、名古屋大学にも同じ研究室があるので、そこでもフィールドワークを行うことになっています。


別のグループは、栃木県のアジア学院というところが、アジア・アフリカから農村指導員を養成していますが、そちらに行きました。そういうフィールドワークを経て、論文を書きます。これは、日本語でも英語でもOKで、英語ならだいたい4000ワードぐらいのボリュームです。

もう一方の、高度探求プログラムは、IBDP(国際バカロレアディプロマ)プログラムです。本校では、現在IBのフルディプロマを高校3年間の間に取ることができるシステムがありますが、学費が最低100万円ぐらいかかり、ネイティブ並みの英語力がないと参加できないので、それほどたくさんの生徒が参加しているわけではありません。しかし、フルディプロマでなくとも、部分的にIBのプログラムを取り入れて、それを実践しようということで、「高度探究プログラム」では今秋から、英語の授業でIBの内容を取り入れたものがスタートします。12月の発表では、このあたりもお話しできるかと思います。

今日ご紹介したアプリを、一覧表にしました。QRコードも作っておきましたので、これをスマホやタブレットで読み取れば、一覧表のデータが見られます。ご覧いただいて、何かこれはと思われるものがあったら、一つでもぜひ授業に活用していただけたらと思います。最初に申しましたように、「早い・安い・うまい」ですから、先生の事前準備にも生徒への指導にもほとんど苦労はありません。試されたら、次の日から簡単に授業で活用ができます。高校生だけでなく、中学生でも、もちろん先生も使えるような内容になっていますので、ぜひお試しください。ただ、このアプリの一覧表は2015年7月11日時点の情報です。アプリは日々変化していますので、ご覧になる時期によっては、この表の情報とはアイコンのデザイン、アプリの機能、無料かどうかなどが違うかもしれません。