探求と創造のためのプログラミング―山梨英和の活動予定―

山梨英和大学人間文化学部専任講師 杉浦学先生


杉浦学先生
杉浦学先生

今回は、本校でPEGの活動を今後どのように実施していくのか、その計画をお話ししたいと思います。

 

山梨英和中学校・高等学校の自然科学同好会では、「探求」をテーマとし、研究活動におけるプログラミング等にRaspberry Piを活用したいと思っています。また、そのための環境整備として、空き教室を改造した「ラズパイラボ」という「学びの場」を創ることを計画しています。

 

昨年12月に、自然科学同好会の生徒に参加してもらってRaspberry Piのキックオフ・ワークショップを開催しました。この時はあまり時間がなかったので、1時間程度で「ラズパイというのがあって、こういうふうに組み立てると、こういうことができますよ」ということを紹介し、実際に皆で起動してみるというところまでを行いました。この結果はたいへん好評で、「この次はもっといろんなことをしてみたい」「興味が沸きました」という感想をもらい、出だしは好調ではないかと思っています。最初はこの自然科学同好会の生徒達を中心に小さく始め、将来的には学校全体の取り組みまで広げていけたらと思っています。

 


山梨英和高校はSSH(スーパーサイエンスハイスクール)の指定校であり、女性環境科学者育成に積極的に取り組んでいます。このSSHに関連する活動のうち、自然科学同好会は超高校級で、様々な賞を受賞する素晴らしい研究活動を行っています。ダニを使った環境評価、バイオディーゼルなど、環境科学に関する様々な研究をしています。さらに、小学生を対象とした理科実験教室も行っています。

 


この自然科学同好会の生徒達に、Raspberry Piとプログラミングを使ってどのようなことができるかということですが、プログラミングそのものを学ぶだけではなく、プログラミングと電子工作を組み合わせて、研究活動のツールを自作するような活動、つまりは「探求」のために活用することができればと考えています。例えば、環境情報を測定する装置のプロトタイプや、ダニの飼育を支援する装置のようなものです。他には、小学生の理科実験教室で、Scratchをはじめとしたプログラミングを教えるような機会も作れたらおもしろいのではないかと思います。このように、研究活動に情報技術を取り入れる試みを、山梨英和大学と協力しながら実施したいと思っています。

 


最初に「学びの場」を創ると言いましたのは、授業後の同好会活動の中で、皆で集まり、Raspberry Piを使っておもしろいことができるかを考えるための「場」が必要ではないかと考えたからです。そこで、空き教室を改装し、各自のラズパイを持ち寄って活動ができる場所を作りたいと考えています。阿部先生からのアドバイスも参考にしながらいろいろな機材を買い集めて研究し、設備を整えています。

 


次は大学での取り組みについてです。山梨英和大学は、全学的にICT教育に積極的に取り組んでいます。1年生全員にMacBook Airを持っていて、授業を中心に活用しています。まずは、情報システムコースの専門教育の「情報システム実験演習」という授業、電子工作とプログラミングを連携させた教材として、通年でRaspberry Piを活用し、情報技術について学ぶというカリキュラムを実施する予定です。

 


このように、大学ではRaspberry Piとプログラミングを「ものづくりをする能力を高める」こと、つまりは「創造」のために活用する取り組みを実施する予定です。教室設備の話になりますが、本学にも一般的なコンピュータ教室はあるのですが、Raspberry Piは本体だけを持って行けば使える、というわけではありません。キーボードとかマウスとか、ディスプレイも必要になります。そこで、既存のディスプレイやキーボード、マウスなど、コンピュータ教室に置いてあるような機器に、すぐにRaspberry Piラズパイを簡単に接続して使えるように教室の設備を増強しました。こういった教育環境の設備に関するノウハウというのも、皆様方に積極的に発信・共有していきたいなと思っています。

 


PEGのパートナーの中で、本校のように大学と中高が一緒に入っているというところはないと思いますので、うまく連携してお互いに利点が生まれるような活動ができればと思います。そして、学びの場づくりをはじめとしたノウハウを、皆さんと共有していきたいと思っています。