令和4年度神奈川県高等学校情報部会

情報科の指導と評価の一体化

国立教育政策研究所・文部科学省 田﨑丈晴氏

ご本人提供
ご本人提供

最初に自己紹介をいたします。私は平成15年4月に情報科の教員として採用されました。令和3年4月から調査官を拝命して、今年2年目です。今日の話題の一つのカリキュラム・マネジメントは、かつて在籍しておりました学校で取り組んできたところでもあります。

 

また、大学では経営工学を専攻していましたが、経営工学で問題解決について学んだことは、振り返ればとても大事なことを学んだという思いであります。

今、「情報」が情報や情報技術を活用して、問題を発見・解決する学習活動を通して資質・能力を育成する教科に発展していることには、感慨深いものがあります。神奈川県情報部会には、かつて出席したり、発表させていただいたりしたご縁もあります。

 

 

導入テスト~GIGAスクールで学んだ生徒を受け入れるベースとして

最初に、今日ご発表くださった先生方のお話の感想からお話ししたいと思います。

 

まず、導入テストですが、今年は3253名の生徒さんが受けられたというのはすばらしいですね。私も教員時代に一度参加した記憶があります。新しい学習指導要領になっても、問題をブラッシュアップしながら続けて来られているのはたいへんすばらしいと思います。またスライドでも触れられたように、今回全体的に正答率が上がっているのは、とても心強いところです。

 

山田先生のお話の中にもありましたが、ICTスキルが上がっているということについては、GIGAスクールで1人1台端末を活用した生徒が進学してきている、ということも背景としてあるかと思います。

正答率8割未満とご報告いただいた問題には、「情報の科学的な理解」に関する問題が多いなと思いましたが、よく見ると6割は正答しています。中学の何年生で勉強してきたか、というところは学校によると思いますが、高校進学時点で6割は正答しているということは、興味深く見ました。

 

導入テストは、問題ができた・できないということよりも、この結果を受けて、自校での「情報I」「情報Ⅱ」の指導を組み立てる際の参考にするものであると思います。中学校で勉強したことは高校ではもう学ばなくてよい、というわけではありませんから、傾向としてこの辺りは充実した方がよいとか、この辺りはだいたいわかっているようだ、ということを踏まえて、オーバーラップしているところも含めて、高校できちんと身に付くようにご指導いただければと思いました。

 

 

座談会~試行錯誤の成果を共有し、次なる10年へ向けて

座談会では、「情報I」で何を重視するかという話題がありました。時間の制約がある中で、どういったところに重点を置く授業が望ましいか、というところですね。この辺りの議論で、「答えがない」というご発言がありましたが、この「答えがない」というのが、私の中ではキーワードかなと思いました。

 

先生方は、学校の実態に合わせて自校の生徒に合った形で授業を考えられていると思いますが、この「答えがない」ということを私なりに解釈すると、これは、まさに先生方が試行錯誤して、成果や課題を見出していらっしゃる、ということですね。

 

今日の私が事務局の先生より仰せつかったテーマは、「指導と評価の一体化」ですが、先生方がこういった授業改善に取り組まれるのは、ある意味の「探究」であり、「これが答えだ」というものを出すよりは、取り組みを通して課題を整理して、成果を共有することに意義があるのだろう、と受け止めています。

 

「情報I」「情報Ⅱ」の授業において、課題を発見し、解決していく学習活動を経験し、自らの考えで情報社会に参画し、寄与できるようになってほしいということは、学習指導要領の目標にも示されているところですので、ぜひそうなってもらえるような指導をしていただきたいと思います。

 

その工夫の中で、例えば知識の定着は、GIGAスクールの1人1台端末を使ってクラウドで事前に簡単なワークをやっておいて、授業の中ではそれを前提にした課題解決活動を展開し深い学びを実現する、といった工夫もあるかもしれません。そういった試行錯誤を、夏の全国大会などで共有できればよいと思いました。

 

「学び方を学ぶ」ということについては、これもある種の問題解決活動であると思います。探究的な学びで、生徒自ら問いを立てて学習活動を展開していくというところでは、まさに課題を発見し、解決する学習活動とです。ですから、何をもって課題発見・解決とするのかは、授業の内容の扱いによって、いろいろな考え方があると思います。

 

「問題発見・解決能力」については、「情報」の授業だけでやろうとするのでなく、カリキュラム・マネジメントした方がよい、というご意見はその通りだと思いました。問題発見・解決能力は学習の基盤となる資質・能力の一つですから、全ての教科や総合的な探究の時間で連携して、こういった能力を身に付けていくべきであると思います。さらに、情報科の教員としてそこにどのように関わるのか、というところは、大いに議論していただきたいところですし、そういったテーマになり得る問題であると思いました。

 

「10年後の情報教育」の話題は、刺激的でした。先生方に、今の学習指導要領の目指すものの実現に向けて取り組んでいただくことは、もちろんとても大事ですが、日本の教育の未来を見据えて、ご自身の情報教育をどのように価値づけていくのか、この国の未来で必要になる力を学校の中でどのように身に付けるのが望ましいのか、そのためにはどのような指導が望ましいのか、という視点で、学校ごとでの教育活動を捉えることが非常に重要であると感じました。私も参考になったり、勉強になったりすることをたくさんいただきました。ありがとうございました。

 

 

学習指導要領の改訂の考え方から考える指導と評価の一体化

ここからは、いただいたタイトル「指導と評価の一体化」という側面から、情報教育について考えていきたいと思います。

 

新しい学習指導要領に基づく教育活動について考えるとき、まずこの改訂の考え方から考えていくのが一番良いだろうと思います。

 

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新しい学習指導要領での教科や科目の目標は、「何ができるようになるか」というところに示されているとおり、資質・能力の3つの柱、すなわち「知識・技能」「思考力・判断力・表現力」「学びに向かう姿勢、人間性など」で整理されています。この資質・能力を身に付けることが、教科や科目の目標に位置付けられていて、アクティブ・ラーニング、つまり「主体的・対話的で深い学び」によってそれが養われる、という構造です。

 

ですから、新しい学習指導要領では、全ての先生方が主体的・対話的で深い学び(アクティブ・ラーニング)の視点で授業改善に取り組まれていることが求められています。その意味で、これらのお示しする資料は、今までは学習指導要領の趣旨を伝えるためのものでしたが、これからは、ご自身の指導を通してこの学習指導要領の理念や目標がどこまで達成されたかを振り返るためのものとなります。

 

今年3月の文部科学大臣メッセージの中に,「生徒を主語とした高等学校の教育」という言葉がございます。学習指導要領の着実な実施を考えるにあたり、「生徒」を主語として教育活動を考えていくときは、「『生徒が』何を学ぶか」「『生徒が』何ができるようになるか」「『生徒が』どのように学ぶか」ということが必要で、先生が教え込むとか、やらせるということではない、ということですね。「生徒を主語とした教育」を踏まえた授業をどのくらい実現できたのか、ということを確認するために活用してください。

 

そして、「指導と評価の一体化」ということで、教科や科目ごとに、資質・能力の3つの柱に沿って整理された目標を実現するべく指導することによって、資質・能力がどの程度身に付いたのかということを、観点別学習状況の評価を重ねて総括し、さらに,ご自身の指導の改善,充実を図っていただくことになります。これは、教員個人だけでなく、学校全体として育成したい資質・能力が、どのくらい育成されているのか、という議論にもなります。

 

 

「情報活用能力」育成のためのカリキュラム・マネジメントの実現に情報科が担う役割

指導と評価の一体化は、実はカリキュラム・マネジメントの実現のためにも、必要な活動です。そういったことを踏まえながら、皆さんご自身の「情報I」の1学期の指導を振り返っていただければと思います。

 

学校全体のカリキュラム・マネジメントの視点で言えば、共通教科「情報」は、学習の基盤としての資質・能力のひとつである「情報活用能力」を身に付ける中核を担うことになります。

 

情報活用能力を学校全体で身に付けさせる、ということは、学習指導要領解説の総則編にも書いてあることですが、「情報I」や「情報Ⅱ」の指導を通して、どのような力を身に付けるのか、さらにそれを受けて他教科や総合的な探究の時間では、どのような力を身に付けさせるのか、ということを、この機会に学校全体で議論し、確認していただくのが良いのではないかと思います。そして、こういった学校全体の取り組みを毎年見直して、ブラッシュアップしていただきたいと思います。

 

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資質・能力の3つの柱に沿って整理された情報活用能力は、こちらのスライドのとおりです。情報科の先生方は、1人1台端末で単に調べ物をすることだけが情報活用能力ではない、ということはご存じのことと思いますが、ここでは「情報活用の実践力」も「情報の科学的な理解」も「情報社会に参画する態度」も、さらに「情報モラル」も含めた形で整理されています。

 

こういったことを、学校全体で確認し、共有することで、他教科の先生方も、情報活用能力が意味するところの幅広さを理解していただけるかもしれません。

 

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特に「情報モラル」の定義、すなわち「情報社会で適正な活動を行うための基になる考え方と態度」は、情報科の先生方にとっては、「情報A・B・C」の時代から変わっていないのでご存じと思いますが、他教科の先生にとっての「情報モラル」は、ひょっとすると、単なるルールやマナーというイメージかもしれません。

 

「情報モラル」の具体的な例として、まず他者への影響を考え、人権や知的財産権など、自他の権利を尊重し、情報社会での行動に責任を持つことが上げられている点を含め、校内で共有すると良いと思います。

 

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問題を発見・解決する活動の評価のあり方

先生方は、1学期の指導を終えられて、「情報に関する科学的な見方・考え方を働かせ」、「情報技術を活用して問題の発見・解決を行う学習活動を通して」をどのくらい実現できたと感じていらっしゃるでしょうか。

 

「情報技術を活用して問題の発見・解決を行う学習活動」が十分に行われれば、アクティブ・ラーニング(=主体的・対話的で深い学び)が実現されていくことは、昨年からお話しさせていただいているとおりですが、実際に授業を実践されてみていかがでしたでしょうか。

 

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「情報I」「情報Ⅱ」の目標が、「問題の発見・解決を行う学習活動を通して」というところは変わりません。そして、これは1つの単元だけでなく、年間を通して行い、さまざまな内容で実践することになっています。

 

先ほどの座談会でも、生徒が問題を発見し、解決を行う学習活動についての話題も出てきましたが、特にどのように問題を発見するかということは、先生にとっても生徒にとっても難しいことであると思います。

 

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もし生徒がある情報技術に接して、自分の発想で「これを使ったら、わくわくするような面白いことが起こるかもしれない」と考えたら、彼らは一生懸命発想するでしょう。

 

先生方には、そういった学習姿勢を応援していただきたいですし、どんなに小さなことであっても、学んだ情報技術を活用して問題を発見する、という考えに至ったこと自体がすばらしいことを認めてあげて、その後の学習の展開について指導や支援をしていただければと思います。

 

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単元同士の連携・他教科との連携のあり方

これも、先ほどの座談会でも話題になりましたが、「情報I」の「(1)情報社会の問題解決」は、全体の導入にあたります。まず1学期はここから学ぶわけですが、ここは「(2)コミュニケーションと情報デザイン」「(3)コンピュータとプログラミング」「(4)情報通信ネットワークとデータの活用」で学ぶことのイントロダクションにあたるので、(2)(3)(4)に関わる内容に少しずつ触れながら、課題解決を経験する、というのがポイントになります。そのようにリンクさせる指導がどこまでできたのか、というところも、振り返りのポイントとなります。

 

また、座談会では、情報の確からしさをどのように見極めるかというメディア・リテラシーの話も出てきました。「情報I」でメディア・リテラシーの指導ができるか、ということについては、「(2)コミュニケーションと情報デザイン」で、メディアの特性とコミュニケーション手段の特徴について、その変遷も踏まえて科学的に理解する、と整理されていますので、この「メディアの特性を踏まえて」というところを突き詰めていくと、実は発信する立場と受信する立場の両方のメディア・リテラシーを育てる授業ができるのではないでしょうか。

 

メディア・リテラシーは他教科でも実践されるテーマでもあろうかと思いますので、メディア・リテラシーについて、他教科の先生と教科等横断的な視点でコミュニケーションできるのではないかと思いました。

 

学習指導要領で、「情報I」の「データの活用」は数学Iと、「情報Ⅱ」のデータサイエンスは数学Bとの連携が図られている、というように、他教科と横断的な視点で学習活動を行うように設計されています。この辺りにどこまで取り組めたのか、というところについても振り返っていただき、これからのどのぐらい実現させたいか、という目標を持って授業に取り組んでいただきたいと思います。

 

指導と評価の一体化では、「主体的・対話的で深い学び」(アクティブ・ラーニング)の視点で授業改善を行うことが非常に重要です。

 

「主体的・対話的で深い学び」を実現するためには、思考力を働かせる授業が重視されるということを踏まえつつ、共通教科「情報」の学習指導要には、赤字で示したような学習活動の充実を図ることが示されています。

 

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ですから、「問題を発見し、解決する学習活動を通して」ということを具体的に言えば、例えば主体的・協働的に制作したり討論したりする活動、探究的な学習活動を授業の中に取り入れることであると考えていただくとよいと思います。

 

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こちらは、昨年度の8月20日に公表した「指導と評価の一体化のための学習評価に関する参考資料」(※1)です。学習評価の基本的な流れの第2編までの説明は、教職員支援機構サイトで動画配信されていますので、詳しくは、そちらをご覧ください(※2)。

 

※1 https://www.nier.go.jp/kaihatsu/pdf/hyouka/r030820_hig_jouhou.pdf

※2 https://www.nits.go.jp/materials/youryou/061.html

 

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学習評価の基本的な考え方とは

学習評価の基本的な考え方は、平成31年1月21日の中教審初等中等教育分科会教育課程部会の「児童生徒の学習評価の在り方について(報告)」に記載されています。

 

指導と評価の一体化の部分は、この(2)に書かれているとおりで、「児童生徒一人ひとりの学習の成立を促すための評価」という視点を一層重視することによって、教師が自らの指導のねらいに応じて、授業の中での児童生徒の学びを振り返り、学習や指導の改善に生かしていくというサイクルが大切である、とされています。「情報I」が始まって、1学期の間にこのサイクルを何回回すことができたでしょうか。

 

というのは、冒頭でお話しした「指導と評価の一体化は、カリキュラム・マネジメントにとっても重要である」ということが、まさにこの(1)に示されているからです。

 

資質・能力の3つの柱に基づいて観点別評価をするというのは、授業においては、単元における学習活動を通した普段の見取りの積み重ねです。普段の見取り、普段の評価を積み重ねて単元で総括し、その単元の総括を積み重ねて学期の評価に結び付けていくことになりますから、このことを踏まえ、各単元の指導の中で、この指導と評価の一体化のサイクルを何回か回す機会を作っていただきたいと思います。

 

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資質・能力の3つの柱に基づいて評価する際の観点はこちらのスライドの通りです。「学びに向かう力、人間性等」に該当する観点は、主体的に学習に取り組む態度で評価を行います。

 

共通教科「情報」で観点別評価を行う趣旨は、先ほどの「指導と評価の参考資料」の第2点にも記述されていますので、どういった趣旨で評価したらよいかに迷われたときに参考にしてください。

 

特に、「主体的に学習に取り組む態度」の評価は、情報社会との関わりについて考えながら、問題の発見・解決に向けて、主体的に情報と情報技術を活用し、自ら思考・判断し、改善しようとしているかどうか、ということです。ですから、授業自体が問題を発見し、解決する学習活動を中心に構成されていれば、生徒がより良くしようという意欲や粘り強さ、自己調整を働かせる場面を作ることができます。それらに対してどのような見取りをするかを考えるとき、この趣旨の意味するところが役に立つと思います。

 

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学習指導要領には、共通教科「情報」の評価の観点およびその趣旨として、各資質・能力に沿って具体的に目標設定がなされています。「指導と評価の参考資料」では、その目標を実現させるための評価規準として筋が通るように説明していますが、資質・能力を育成するという視点に立てば、評価のあり方がご理解いただけるかと思います。

 

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各単元の学習活動の進め方がこちらです。資質・能力を育成するという視点で授業を行って、評価をするわけですから、単にテストを行って「あなたは何点だから成績はこれだ」ということではないということですね。

 

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まず、生徒の学習活動を見取って、設定した評価規準に照らして、まず「おおむね満足できる」状況(B)であるかを考えます。

 

その中で、努力を要する状況がある生徒がいたときには、単に「あなたはCです」とするのではなくて、改善に向けてどのような指導をすれば「おおむね満足できる」状況(B)に育てられるか、ということを考えます。

 

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つまり、資質・能力を育成するというのは、言葉を変えると、先生が教えたことをどのぐらい記憶しているかではなくて、力を養う、育て上げるという視点で生徒の学習活動に向き合うことであると思います。

 

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単元指導の中の評価の積み上げ方

共通教科情報科の参考資料には、単元指導計画の4つの事例を載せています。

 

どの事例も、単元の目標は資質・能力の3つの柱に沿って設定されて、その目標に基づき、評価規準が設定されています。

 

事例1の単元指導計画は13時間の計画になっていますが、この中で○が付いている活動で観点別学習状況を評価するための記録を付けていくことになっています。

 

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この授業者は、単元の前半に問題を発見・解決する学習活動の中で、改善に向けた指導を重点的に取り入れています。そして単元の後半では、それが身に付いたかを見取っていく、という構成をとっています。

 

これは、あくまでも参考事例ですが、単元の中で観点別学習状況の評価を行って総括するというところ、そして単元の総括を積み重ねて学期の評価につながるというところは、確認しておきたいと思います。

 

ですから、「この単元では知識・技能しか扱わない」ということにしてしまうと、それ以外の観点での総括できなくなってしまうので、どの単元を指導するときも、3つの観点でバランスよく評価できるようにしていただきたいと思います。

 

知識・技能を活用する場面がなければ、課題解決活動と言うことはできませんし、改善しようとする学習場面がなければ、課題解決活動として深まりません。ですから、課題解決活動を行う中で、「知識・技能」、「思考力・判断力・表現力」、そして「学びに向かう力」を、トータルとして見取るということが大切になってきます。

 

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先ほど、観点別学習状況の評価で、「努力を要する」状況(C)への手立て等を考え、「おおむね満足できる」状況(B)へ育てる、という話をしましたが、例えば、3つの観点全てでBと評価し評定へ総括する場合、指導と評価の参考資料の第1編では、「BBB」であれば評定「3」を基本とする、とありますから、全ての生徒を評定3と総括することが授業の1つの目標になると考えられます。一人ひとりの生徒が、どこまで力を身に付けたのかということが評価の目的ですから、生徒を1位から最下位までをランキングして、上位から何位までを評定「5」にするといった発想ではないことは、注意しておきたいところです。

 

ですから、1学期の指導と評価を振り返って、観点別学習状況の評価によって生徒一人ひとりが、何を・どこまで力を身に付いたかを見取ることができたか、改善点はどこにあるのかを考えて、2学期の指導への改善点を見出していただきたいと思います。

 

生徒が1人1台端末を活用するようになり、クラウドを基盤として学習活動が行われ、さらに課題解決活動も加わってくると、先ほどの座談会でも触れていただいたように、教室と家庭での学習活動がつながってきます。そうすると、生徒は自分のペースで、自分が必要だと思うタイミングで、学習活動を展開していけるようになります。それが個別最適な学びの実現につながっていくのですが、一方で課題を発見して解決する学習活動を積極的に取り入れて、クラウドベースで活動をシェアしながら取り組むことも個別最適な学びに加えて協働的な学びの実現に向かっていきます。これらも授業改善の参考にしていただきたいと思います。

 

 

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スライド右下の単元の評価表の例では、A、B、Cと評価した部分を、どのように総括していくのかというところについては、ここには具体的に書かれていません。

 

この部分は学校ごとに決めた観点別評価の趣旨に則った評価が行われるべきところで、もし修正すべきところがあれば、職員会議や教科主任が集まる会議等で議論して、学校としての改善案を提案していただくのがよいかと思います。

 

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学習評価に関する資料は、国立教育政策研究所のwebページに公表されています(※3)。「学習評価の在り方ハンドブック」(※4)もぜひご覧ください。新しい学習指導要領に変わったタイミングで、観点別学習状況の評価を充実させるという視点で、振り返りをする機会を持っていただければと思います。

 

 

情報教育振興室の取り組み

ここからは、文部科学省情報教育振興室の取り組みの内容をご紹介します。

 

高等学校情報科のwebページ「高等学校情報科に関する特設ページ」(※5)を4月にリニューアルしました。生徒が学べる情報も充実させていこう、ということで、更新し続けています。

 

※5 https://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/zyouhou/detail/1416746.htm

 

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ICT活用教育アドバイザー事業は令和4年度も始まりました。

 

この事業では、「情報I」に関するオンライン研修会を開催したり、「情報I」の内容に関するご相談にも対応したりすることになっています。

 

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第1回の研修会は、7月25日にオンライン開催することになっていますので、興味がある方はぜひご参加ください 。

 

 

また、夏休みには情報処理学会が教員研修を行います。情報処理学会の研修をここで取り上げるのは、情報教育振興室からこの研修への参加のご案内の事務連絡を出しているからです。この研修は有料ですが、文科省が支援しているので参加者の負担が大きく軽減され、実費程度となっています。詳しくは情報処理学会のウェブページ(※6)をご覧ください。

 

※6 https://www.ipsj.or.jp/annai/committee/education/KOSHU2022.html

 

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こちらは今年度の国立教育政策研究所の事業の紹介です。

 

「E-Assessmentに関するもの」というのは、全国学力・学習状況調査に係るCBT方式の問題の実践検証で、今年は共通教科「情報」で岡山県の高校にご協力いただいて実施することになっています。

 

 

先ほど全国高等学校情報教育研究会の全国大会の話がありましたが、ぜひ先生方の実践を共有していただき、そのことが、全国の情報教育の指導力向上につながることを期待しております。

 

都道府県の情報部会を盛り上げよう、という話をする際には、いつも「神奈川県高等学校の情報部会は、県を越えて参加できる」ということを伝えさせていただいています。

 

今日も他の県から参加された先生方がいらっしゃっていて、すばらしいと思います。こういった取り組みを、今後もぜひ続けられましたら、大変心強いと思います。

 

 

今回は、「指導と評価の一体化」についてお話ししました。授業改善は、先生方が退職されるまで、ずっと続くものだと思います。これからもこのスライドに挙げたような点で取り組みを続けていただくことで、さらなる充実や改善が続けられると思います。そして、その取り組み状況を全国大会等で共有していただけましたら、私も参考にさせていただきます。今度ともどうかよろしくお願いします。

 

令和4年度神奈川県情報部会研究大会講評講演より