第84回情報処理学会全国大会 イベント企画

「情報入試―共通テストと個別試験」

開会挨拶  東京通信大学 筧捷彦先生

ご本人提供
ご本人提供

今回、このシンポジウムを企画したのは、ご存じのとおり、この4月から高等学校の新しい学習指導要領が実施され、そこでは、教科「情報」に「情報Ⅰ」という科目が必履修科目として設定され、全ての高校生がこの内容を学ぶことになるためです。加えて、選択履修できる科目として「情報Ⅱ」も設置されました。

 

これを受けて2025年1月の大学入学共通テストから、「情報」が独立した時間枠として実施され、さらにその内容は「情報Ⅰ」とするということが、文部科学省および大学入試センターから告知され、これを受けて国立大学協会の議論も行われ、共通テストに「情報」を採択することになったという状況があります。

 

 

大学入学入試というのは、高校と大学との接続の大きな要ですが、入試が最終的な目的ではなく、そこを要として、今後は大学側も具体的な行動を取っていくことになります。

 

当然のことながら、共通テストそのものは、高校での学習成果を共通の尺度で量るために行うものであって、各大学・学部・学科が測りたい力については、それぞれの大学の学部・学科等で、個別にいろいろな形の試験を行って、入学者を決めることになります。場合によっては「総合型選抜(AO入試)」という形で、いわゆるペーパーテストとは違う形態の選抜があるかもしれません。

 

 

大学側は入学後の情報教育をどう展開するのか、それとの関係で、この共通テストで『情報Ⅰ』をどのように扱うかということを、高校側にも世の中に対しても明らかにしていく必要があると思います。

 

大学ではご存じのとおり、既に「数理・データサイエンス・AI教育プログラム」を推進する活動が展開されており、文部科学省ではその認定を行う、ということが行われています。「リテラシーレベル」に関しては、約60の認定プログラムが公表されています。

 

また、日本学術会議では情報学分野(これは専門教育に限らず、広い意味での情報学を指します)に関して、大学としてはどのような内容をどの程度この程度行うかという基準を示した「教育課程編成上の参照基準」 (※1)が作られています。

 

また、初等教育から高等教育まで、情報教育の課程をどのように設計するかということについての指針(※2)も示されています。

   

※1 「大学教育の分野別質保証のための教育課程編成上の参照基準情報学分野」

※2 「情報教育課程の設計指針 ― 初等教育から高等教育まで」

   

 

この『情報Ⅰ』を履修した最初の卒業生が2025年3月に誕生します。それまでに、高校側は情報教育をどのように行っていくのか、そして彼らを受け入れる大学側は高校の学びの成果をどのように評価するか、さらにそれを受けて大学の学びをどう用意するのか、ということが重要になると意識しています。

 

これらの状況を受けて、私たち情報入試委員会では今回このような特別セッションを設けました。現状がどうなっているか、これまでの経緯にはどんなことがあったのか。そして今後3年の間に高校側が変わり、それを受け入れるために大学側はどうするか、というような事柄について、現状の報告に始まって、議論の中で展望が議論できれば幸いであると思っています。