New Education Expo2019 

【パネルディスカッション】

学習の基盤となる情報活用能力の体系的な育成~実践事例から考える育成方法

[司会]宮城教育大学 安藤明伸先生

長野県教育委員会 松坂真吾氏

北海道教育大学附属釧路中学校 柴田顕寛先生

鳴門教育大学 泰山裕先生

 

[安藤明伸先生]

私は情報教育に関するいろいろな仕事をしていますが、その中で「情報活用能力」という言葉が、まだまだ専門用語のように扱われていると感じています。それが一般的に通じるようになる日が早く来ればと思って、この仕事をしています。

 

今日は、まず私からこのセッションの趣旨のお話をして、その後長野県教育委員会の松坂先生から、長野県の情報活用能力への取り組みと、どんな成果があったのかということをお話ししていただきます。そして、それに対してそして柴田先生からコメントを、泰山先生から解説をいただきます。そして、次に柴田先生から、北海道教育大学釧路中学校の実践事例をお話しいただき、今とは逆に松坂先生からコメントを、泰山先生から解説をいただきます。

 

本セッションの趣旨~IE-Schoolの取り組みから

セッションの趣旨についてお話しします。文部科学省の事業に「次世代の教育情報化推進事業」というものがあり、その中でIE-School(イースクール)事業というものを行ってきました。この事業は今年度も継続します。

 

この事業では、まずいろいろな推進校・協力校が、学習指導要領にある資質・能力の『三つの柱』を踏まえて、情報活用能力というものを整理することを目的に様々な実践を行ってきました。さらにこれらの実践を、新しい学習指導要領でも重視されているカリキュラム・マネジメントの観点から、教科横断的な情報活用能力をどのように育成することができるのかという工夫を整理したのです。

 

協力校や推進校は下図にあるとおりです。その中で、今日は長野県教育委員会と北海道教育大学の方に来ていただいています。下段にあるのが大学関係者ですが、今日来ていただいた泰山先生は、情報活用能力の体系表を作ることの中心となっていただきました。

この「体系表」は、皆さんはもうご覧いただいたかもしれませんし、今回の配布資料の中にも入れています。この会場の照度では、少し読みづらいくらい細かく書かれていますが、そのくらい密度の濃い中身です。そして、後で泰山先生からもお話があると思いますが、昨年度版から今年度版にかけて、「組織的な配列」の辺り少しバージョンアップしました。この辺りも、後ほど見るべきポイントなどをお話しいただきます。

 

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IE-Schoolのもう一つの目標はPDCAサイクルの確立です。図中にあるカリキュラム・マネジメントですが、言葉はわかるけれど、実際何をどうやったらよいかよくわからないと、学校さんも苦労されているとお聞きしています。

 

今回は、準備期・実践期・改善期でどのようなことをしたらよいかを、実践校の取り組みの中から、下図の形でまとめています。全ての学校がこのような流れで行ったわけではありませんが、おおむね準備するときにはどんなことが必要で、そしてやりながらどのようなことをまとめていって、最後の改善期では、レビューをどのように行うのか、といったモデルを作ることができました。

 

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この後、二つの事例を紹介していただきますが、こういった体系表の中のどの部分のことと関連しているのかとか、あるいはカリキュラム・マネジメントをしていく中で、どのような成果があったのかといったことを聞いていただくと、参考になると思います。