教育の情報化の動向と今後の展望

文部科学省生涯学習政策局情報教育課長 梅村 研氏

私は現在文部科学省の情報教育課長でございますが、以前は総務省で地域の情報化やコンテンツ振興といった情報通信振興行政や、地上デジタル放送の推進などの放送行政に長く携わっておりました。2002年から2004年には学校のネットワーク上で教育用コンテンツを流し、授業で活用するというプロジェクトに関わったことがありました。最近は当時とは状況が大きく変わってきていることを感じています。

 

本日は、まず「教育の情報化が目指すもの」ということで、私ども情報教育課が行なっている行政の守備範囲をお話します。次に、最近のトピックである学習指導要領の改訂の中で、情報教育や学校でのICT活用がどうなっているのかということをご説明します。

 

そのあと各論に入ります。学校のICT環境整備の現状と対応については、現在有識者会議を開いており、5月29日に論点整理(案)が提示されました。この出来立ての論点整理(案)の内容をここでご紹介をしたいと思っております。

 

Ⅰ.教育の情報化が目指すもの

まず、教育の情報化として、三つの観点から取組を進めています。一つ目が情報教育です。これは、児童生徒が情報をどのように受容して、どういうふうに活用するか。あるいは情報手段、すなわち、コンピュータなどの機器をどのように活用するかといった情報活用能力の育成という観点です。二つ目が教科指導におけるICTの活用ということで、教員がICTを効果的に活用して、いかにわかりやすく、深まる授業を実現していただくかということです。三つ目が校務の情報化ですが、これは教員の業務軽減に資するため、最近の課題として挙げられている教員の働き方改革の観点からも注目されております。

 

こういった三つの側面のICT化を進めることにより教育の質の向上につなげるということが大きなポイントだと思います。このためには三つの基盤が必要で、その一つ目が先生方の指導力の向上、二つ目が学校のICTの環境整備、そして三つ目が教育情報セキュリティの確保です。現在は、こういったことを視野に入れながら施策の検討をしています。

 

下図は2016年の日本再興戦略における情報教育に関する部分の抜粋です。2020年までに授業中にICTを活用して指導することができる教員の割合や普通教室への無線LANの整備を100%にするなど、様々なKPI(※1)が示されていますが、大きな目標としては、情報活用能力を育成することや、ICTを活用して対話的・主体的で深い学びを実現すること、校務支援システムの導入、学校のIT環境の整備といったことを目指しましょう、ということが記載されています。政府の戦略の中で、特に「わが国人材のIT力を強化する」という観点から、今、教育の情報化が注目を集めています。

※1 Key Performance Indicator:目標を達成するための指標

 

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文部科学省はこのような政府の動きに呼応して、昨年「2020年代に向けた教育の情報化に関する懇談会」を開催し、昨年7月に最終まとめを行っています。内容を一つひとつご紹介はしませんが、教育の情報化の加速化に向けた主な施策について下図にまとめているように、次世代の学校・地域におけるICT活用のビジョン等の提示、あるいは授業、学習面でのICTの活用、ICTの校務での活用、あるいは授業・学習面と校務面でデータを連携させる取組などといったことを課題として位置付け、これに沿って個別の施策を進めているところです。

 

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Ⅱ.学習指導要領の改訂

次に、学習指導要領の改訂について説明します。学校で教育課程を編成する際の基準として、学校教育法などに基づいて定めているものがこの学習指導要領ですが、中央教育審議会でその改訂について議論されてきており、昨年12月に方向性が答申として提示されました。その中でICT、情報教育につきましては、大きな変化が二つありました。

 

一つは、「情報活用能力」が、「言語能力」と同様に「教科の枠を超えて、全ての学習の基盤として育まれ、活用される資質、能力」と位置付けられたことです。つまり、単独の教科ではなく、教育課程全体を見渡して育んでいくカリキュラム・マネジメントが重要だということになったのです。

 

二つ目が「プログラミング教育の実施」ということで、小学校・中学校・高等学校で発達段階に応じてそれぞれ位置付けられることが提言されました。そして、ICTの特性を「主体的・対話的で深い学び(いわゆるアクティブラーニング)」の実現につなげるために、学校で日常的にICTを活用できるような環境を作り、学びの質を高めていく、そのためのICTの活用についての実践的な研究と成果の普及が必要だ、とされました。これを受け、小学校及び中学校については、本年3月末に学習指導要領が改訂されました。高等学校については、29年度中に改訂される予定です。

 

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小学校、中学校の学習指導要領のポイントが下図です。中教審で出されました方向性に沿った形で、「情報活用能力は学習の基盤だから、教科横断的にカリキュラム・マネジメントをしっかりとやっていきましょうね」、ということが明記されています。

 

その中で、「主体的・対話的で深い学び」の実現に向けて、授業改善の視点から、コンピュータや情報通信ネットワークなどの情報手段を活用するために必要な環境を整え、これを適切に活用した学習環境の充実を図りなさい、ということが書かれています。先ほどの「情報活用能力が学習の基盤である」ということが一つ目の大きなポイントだとすると、二つ目の大きなポイントは、そのためのICTの環境整備が指導要領の総則において初めて明記されたことだと思います。

 

また、小学校につきましては、文字入力などコンピュータの基本的な操作を習得するための学習活動や、プログラミングを体験しながらコンピュータに意図した処理を行わせるために必要な論理的思考力を身に付けるための学習活動といったものを計画的に実施することも示されており、これも新たに位置付けられました。このような全体の流れを踏まえて、次に政策の各論を説明いたします。

 

Ⅲ.各論  (1)学校のICT環境整備との現状と対応

まず、学校のICT環境整備の現状と対応についてお話します。

 

現在の政策のベースとなっているのは、2013年6月に閣議決定された第2期教育振興基本計画で、下図には目標として以下のような具体的な数値が挙げられています。

 

まず、教育用コンピュータ1台当たりの児童生徒数が3.6人とされています。この数字の根拠は、下図に書いてあるように、コンピュータ教室に40台、各普通教室に1台、特別教室もそれぞれ1台ずつ置いて6台、その他設置場所を限定しない可動式のコンピュータを40台。この割合で導入していくと、3.6人に1台という数字になります。そのほか、1学級に1台電子黒板・実物投影機を整備すること、超高速インターネットおよび普通教室の無線LAN整備率を100%とすること。そして校務用コンピュータは教員一人一台として、ICT支援員も適切に配置するという目標になっています。

 

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これを踏まえて、目標とされている水準に必要な所要額が計上され、2014年から2017年までは単年度1678億円の地方財政措置が講じられています。このように目標に合わせて地方財政措置が講じられているのですが、現状を見ると、上図の下のグラフにあるように、まだ目標値までは達していません。赤いラインが平均値で、2016年3月が6.2人に教育用コンピュータが1台です。2015年が青いラインで、これが6.4人に1台ですから、1年間で微増している状況です。

 

本来の目標が3.6人に1台ですから、目標を超えているのは佐賀県だけで、2.2人に1台です。最も低いのが埼玉県と神奈川県で、8.2人に1台という状況になっています。しかも、この最高と最低の差はだんだん開いてきているというのが現状ですので、整備状況の地域間格差を何とか埋めていきたいと考えております。

  

普通教室におけるICT環境の整備状況でいうと、下図のステージ1というのは、パソコン1台と教室に電子黒板などの大型提示装置があって無線LANがあり、児童生徒に対して掲示型の授業ができるという環境です。そういったところに、グループに1台可動式コンピュータが入るのがステージ2、そして次の学習指導要領に向けては、学びのスタイルによっては一人一台の可動式コンピュータが使える状況も可能になるステージ3を目標にすべきではないか、ということが「2020年代に向けた教育の情報化に関する懇談会」において議論されたところです

 

こういった状況には、まだ程遠いというのが現状です。下図からはICT環境整備の推移です。特徴的なのは、右側のグラフにあるように、教育用コンピュータのうち、タブレット型のコンピュータの台数が、2年間で3.5倍に伸びていることです。

 

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普通教室の校内LANの整備率については、有線の校内LANの整備率では9割近くまで伸びていますが、無線LANはまだ26.1%という低い状況です。

 

プログラミング教育にしても、「主体的・対話的で深い学び」を行っていくにしても、完全に一人一台とはいかなくても、状況に応じて児童生徒が普通教室でコンピュータに触れる環境を整備することが必要です。そういう観点からすると、これらの数字は十分とは言えません。特に、個々の結果を細かく見ると、無線LANの普通教室への整備については100%普及しているところと0%のところの差が著しいという状況になっています。

 

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教員の校務用コンピュータの整備率については、100%を超えている状況ですので、こちらは一定程度普及してきていると見ることができます。下図の右側の「校務支援システム整備率」グラフには2つの線があります。下の方の「統合型校務支援システム」は、いわゆる教務系や保健系、指導要録等学籍系、学校事務といったものを統合した機能です。教員の業務負担の軽減に資するためには、統合型校務支援システムの整備率(ここで言えば43.1%)を、いかに100%に近づけるかということが大事であると思います。この統合型校務支援システムについては、後ほど改めてお話します。

 

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「学校における教育の情報化に関する実態調査」は、都道府県別、市町村別整備状況をホームページ(※2)に掲載しています。教育委員会の方にとっては、首長部局の財政部局への説得材料にもなろうかと思いますので、ぜひご覧いただきたいと思います。

※2  http://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/zyouhou/detail/1376689.htm

 

そして、もう一つ注目しておきたいのが下図です。ITの環境整備計画。学校のIT環境をどのように整備するかというのは、更新するものもあれば、新たに整備するものもある、といったところをうまく調整し、計画していくことが必要になると思います。この計画を作っていない自治体が、全体の7割あります。

 

日本再興戦略2016のKPIでも、2020年度までに100%を目指すということが書かれていますので、地方自治体において整備計画の策定をぜひお願いしたいと思います。

 

下図が、現在議論を進めている「学校におけるICT環境の在り方に関する有識者会議」の論点整理(案)です。こちらは、東北大学の堀田龍也先生を座長として、学校、教育委員会及び学識経験者等の有識者の方々に、今後の学校におけるICT環境の在り方について検討いただいたものです。今年5月29日に論点整理(案)が提示されまして、7月に最終まとめを予定しています。

 

この検討結果を踏まえて、第3期教育振興基本計画におけるICT環境整備目標を策定していきます。また、同時に地方財政措置の要望を行っていくことも必要です。さらに、今年度末を目処に、教育ICT環境整備指針を策定したいと思っています。こちらは、地方公共団体が学校におけるICT整備を考える際に、どういった機能を持つ機器を配備するかなどについて検討する際に参照していただけるものにしたいと思っています。 

 

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論点整理(案)の概要が下図です。「1」では、まず学習指導要領の実施に向けたICT環境整備の必要性ということで、先ほど私がお話したことが背景として触れられております。

 

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「2」の「検討の視点」では、この学習指導要領の実施に向けて、自治体において学校ICT環境整備を進めていく必要があることを踏まえて、三つの視点で検討されています。

 

(1)は、ICTを活用した学習活動を具体的に想定しながら検討を行うことです。具体的な場面を考えないで機材や設備だけ導入すると、必ず使いづらいとか、導入したのに使われないといった問題が起きてきます。私も総務省時代に、地域情報化などで国の事業でいろいろなシステム導入を開発して実証するのを見てきましたが、やはりそれを使う方々の思いがないと、きちんと使われません。ですから、これは自治体の方、教育委員会の方、学校の方の皆さんがどのように使うかを考え、その結果を踏まえていただく必要がありますし、提案する側の方においても、使う側の視点を持っていただければと思います。

 

また(2)は、優先的に整備するICT機器とその機能について整理を行うということです。その際に全国の学校において広く整備する必要があることを前提に検討を行うことが必要です。さらに(3)については、限られた予算を効果的に活用するということで、ハイスペックなものを無理して入れるよりは、最低限しっかり使われるものから入れていきましょうということです。

 

そして、「3」は今後の学校におけるICT環境の考え方です。この有識者会議の中で、ICTを普段使いしている学校を3校ほど選んで、そこでどういう活用をしているか詳細に整理いただきました。

 

下図が、実際に教育用コンピュータを使った学習活動の事例です。個別のドリル学習や写真撮影、あるいは細部を拡大して見せる、自分の考えを他の人に見せるなどは、実はごく当たり前の日常的な使い方かもしれませんが、このような基礎的な学習活動をしっかり実施できることが大前提であると思います。

 

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もちろん、技術の進歩が著しい分野ですので、それに応じて柔軟に学習環境の見直しを行うことが必要でありますが、「4」では「これからの学習活動を支えるICT基盤」として整理を行ったのが下図です。

 

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左側が第2期教育振興基本計画における目標で、右側がこの論点整理(案)で整理し直したものです。

特に大きな変更の一つが学習者用コンピュータです。今までは、先ほどお話したように、児童生徒3.6人に1台を目標としておりましたが、論点整理(案)では3クラスに1クラス分程度の可動式パソコンの台数を配備することとなっています。これは、授業展開に応じて必要なときに一日一回程度、一人一台で使うことを可能とするには、そのぐらいの確保が必要なのではないかということです。

 

一方、電子黒板については「大型提示装置」と名称を変更しています。大型提示装置の主要な機能には、大きく映すことと、タッチパネル等によるインタラクティブな操作を行う機能がありますが、この中では、特に前者の大きく映す機能がまずは大事ということです。もちろん、インタラクティブな機能などを高度に活用できるところは、実際の学習活動を想定し導入することも大事ですが、今まで使っていないところで導入するときは、まず大きく映すことを最低限必要なことと考えるべきだ、ということです。

 

さらに、大型提示装置や無線LANなどの設備は特別教室にも必要であることも示されました。また、実物投影装置(いわゆる書画カメラ)は中学校・高等学校では、小学校ほど十分な活用をされていない実態から、対象の学校種を小学校や特別支援学校に限定してもよいのではないか、という議論も出ています。コンピュータについては、校務用とは別に指導者用のコンピュータという項目も加わりました。

 

また、新規の追加項目として、学習者用コンピュータの予備や充電保管庫、有線LAN、学習用と校務用サーバ、そしてソフトウェアでは先ほどお話した統合型校務支援システムやセキュリティーソフトの整備を含める必要があることも言及されています。

 

下図「5」のこれからの学習活動を支えるICT機器の機能については、学習活動をしっかり保証しつつ、高コストの調達を防止しなければなりません。予算が限られている中で普及を進めていくためには、最低限の機能を提示する必要があります。先ほどお話した大型提示装置の機能がその例です。また、学習者用コンピュータには、キーボード機能を有することとされています。これは、特に小学校中学年以上の場合は、ローマ字入力でキーボード入力を勉強する必要もありますので、キーボード自体が必要になります。また、ネットワークについては、調べ学習でクラスの全員がインターネットを検索しても安定的に稼働する環境が必要だが、一斉に動画視聴を行うレベルまでは保証する必要はないのではないか、という具体的なレベルまで書かれています。

 

「6」ではICTの環境整備促進と同時に考えるべきことについてキーワードを挙げて示しています。また、「7」では今後の課題として、コンピュータに一定の不具合が生じる可能性を考慮して、予備用のコンピュータをあらかじめ複数台用意しておく必要があることが書かれています。ただ、その代わりに低価格の学習者用コンピュータをより多く調達することで、多くの児童生徒がICTを活用した学習活動ができるようになることを優先するという発想の転換も大事ではないか、と指摘されています。アメリカなどでは、日本円で2万5000円くらいの端末が普及してきていると聞いています。そういった動きも踏まえながら、必要なものをいかに高価格になり過ぎずうまく調達するか、というところを重視していきたいと思います。

 

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ここで「ICT活用教育アドバイザー派遣事業」をご紹介しておきます。ICT活用教育アドバイザーは、自治体の要請に応じて、例えばICT機器を導入していく際に、どのように段階的な整備をするか、ICT機器を活用した教育の効果の検証をどのように行うのか、あるいは教員の指導力に応じて授業にICTを導入する際に、具体的にどのようにすればよいのか、などについてアドバイスできる専門家の方々です。学校現場や教育委員会で実際にICTの導入を担当した方や学識者の方もいらっしゃいます。自治体の方がICTの環境整備を行おうとする際に、どのような機種の何を導入すればよいのか、あるいは予算が減って計画を見直すことになった際に何を優先して入れたらよいのかなど、いろいろと相談をされたいときには、ぜひこのアドバイザー制度を活用していただきたいと思います。 

 

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下図は総務省の情報も含まれますが、学校のWi-Fi環境の整備と利用のイメージです。

 

「1」に書いてあるのが、地方財政措置を活用して、特に普通教室におけるWi-Fi環境整備を支援していくものです。同時に、「2」にありますように、総務省では「公衆無線LAN環境整備支援事業」を行っています。これは、防災の観点から、学校の体育館やグラウンド、あるいは特別教室におけるWi-Fiアクセスポイント整備の支援を、予算の範囲内で補助する事業です。

 

「2」については、普通教室は直接の対象にはなっていませんが、先日総務省とお話したところでは、教室ではなく廊下に設置することが可能で、実際にそういった事例もあるとのことです。このように、補助制度を上手く活用していく仕方があるのではないかと考えます。

 

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Ⅲ.各論 (2)情報活用能力の育成

各論の二つ目が、情報活用能力の育成です。情報活用の実践力を高める、情報の科学的な理解を深める、そして情報社会に参画する態度を身に付ける、こういった取組を推進することが、文部科学省の取組になっています。

 

そして、情報活用能力をカリキュラム・マネジメントの中で上手く育成する、ということになっていますが、そういったものの参考になる材料として、平成28年度から情報教育推進校(IE-School)という取組を行っています。ここでは、プログラミングや情報セキュリティなども含めた情報活用能力育成のための年間指導計画を作成して、指導方法や教材の利活用などの実践的な研究をしていただき、その成果を他の学校でも参考にしていただく、あるいは今後見直す予定の教育の情報化の手引きに反映することを検討しています(※3)。

※3  http://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/zyouhou/detail/1374407.htm

  

次に、最近注目を集めているプログラミング教育についてです。小学校では、プログラミングが必修になりましたが、新しい教科を設けるわけではなく、様々な教科の中でプログラミングを体験しながら、論理的思考力を身に付けるための学習活動を行うことになりました。中学校については、これまでも技術家庭科の中で「計測・制御」について学んでいましたが、次期「学習指導要領」では内容を倍増し、双方向性のあるコンテンツのプログラムも入っています。さらに高等学校の情報科については、これまで選択履修であったため、プログラミングを学ばない人が約8割いましたが、次期「学習指導要領」では情報科は「情報Ⅰ」「情報Ⅱ」として、全ての生徒が共通必履修となる情報Ⅰでプログラミングやネットワーク、データベースについて学ぶこととする方向で、議論・検討が進められています。

 

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特に小学校でのプログラミング教育は、国語や算数、理科、社会といった各教科の中に組み込んでいくことになりますので、指導事例の蓄積が大事になってきます。

 

「未来の学びコンソーシアム」は、文部科学省・総務省・経済産業省の3省が連携して立ち上げ、教材の開発や外部人材の活用、企業の協力の促進や、導入にあたってのマッチング、指導事例の蓄積、各省庁の事業の事例の発信などを行っていきます。

 

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Ⅲ.各論 (3)教員のICT活用指導力の向上

一方で教員のICT活用指導力については、下図グラフを見ていただきますとわかるように、授業中にICTを活用して指導する力、あるいは児童のICT活用を指導する力について自信を持っていない教員がいらっしゃるようです。

 

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こういったところのサポートをしっかり進めるべく、今後も研修や養成について、取組を進めてまいります。また、これまでに文部科学省が実施してきた事業の実践事例集などもありますので、学校現場において参照いただき、校内の研修を進めていただきたいと思っています。

 

Ⅲ.各論 (4)校務の情報化の推進

校務の情報化については、先ほど申し上げたように、統合型校務支援システムを導入している学校はまだ43.2%です。教員の業務には、手書きや手作業のものが多いので、このような業務を効率化することが大事です。現在、文部科学省の中でも教員の働き方改革について議論していますが、その解決策の一つとして校務の情報化に対する期待は大きくなっています。

 

実際に導入した自治体の例として、大阪市では1年間で職員一人当たり224時間、北海道でも116時間の業務時間が減ったという事例が出ています。北海道では、最初は4つの自治体で行っていましたが、今年度からは管内で一斉導入することになりました。このように、都道府県レベルで整備を進めていただきたいと思います。

 

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まとめ

最後に本日お話したことから、私からお願いしたいことをまとめます。まず、次期学習指導要領の実施を踏まえた、学校のICT環境の段階的・計画的な整備のために、昨年度から自治体別の整備状況をグラフ化しましたので、これをぜひご確認いただきたいと思います。ICT環境整備計画も早急に策定をお願いしたいと思います。また、その際ご不明なことがあれば、アドバイザー派遣事業を活用していただきたいと思います。教育用コンピュータの整備については、1台当たり3.6人からもう少し先を見据えて、3クラスに1クラス分の整備実現をお願いしたいと思います。特に、自治体においては、数ある施策の中で、学校のICT環境整備という施策の優先順位を上げていただくよう、働きかけや取組の実施をぜひお願いいたします。

 

お願いしたいことの二つ目は、情報活用能力育成の取組、あるいは小学校におけるプログラミング教育の準備を、まさに今から行っていただきたいことです。先ほどご紹介した「未来の学びコンソーシアム」に参画したり、様々な実践活動を行っているNPOなどの情報を参考にしたりして、進めていただきたいと思います。教員のICT活用指導力も、事例集などを参考にして校内研修を充実していただきたいと思います。

 

統合型校務支援システムについては、都道府県単位など、複数の自治体で連携して導入を進めていただきたいと思いますし、ベンダーの方にはそういう形での提案をしていただきたいと思います。各自治体がバラバラで入れるとなると、小さい自治体ではなかなか導入しづらいですし、教員が転勤した場合に同じ都道府県内であれば同じシステムであることが大事です。さらに財政的にも大きな単位で導入した方が割り勘効果もあるでしょう。また、教育情報セキュリティーポリシーの方は、今後私どもが出すガイドラインを参考にしていただきたいと思います。

 

これから教育情報化には、一層の加速化が必要になります。自治体の首長の皆様には全国ICT教育首長協議会というものもございますので、ぜひ参画いただき、各種取組の推進をお願いしたいと思います。また、産業界においても機器の利便性の向上や低廉化など、なお一層のご協力をお願いできればと思っております。

 

(参照)文部科学省 「教育の情報化 ホームページ」

http://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/zyouhou/index.htm

 

※New Education Expo2017 東京会場講演 (2017年6月2日)