高等学校「情報I」を学ぶ人・教える人のための 

IPSJ MOOC 情報処理学会公開教材 公開!

情報処理学会が制作した、2022年度に開始される高等学校新学習指導要領「情報I」の教員研修や授業等で活用できる公開オンライン教材「IPSJ MOOC」が、7月29日(水)に公開されました。

 

https://sites.google.com/view/ipsjmooc/

 

利用にあたっての登録などは必要なく、上記URLから誰でも無料で視聴や実習ができます。

 


情報Iの「キモ」となる第3章「コンピュータとプログラミング」、第4章「情報通信ネットワークとデータの活用」に準拠し、「情報I」を教える先生にも、学ぶ高校生・大学生にも使える内容となっています。教材の中では、解説動画とともに、Google Collaborator(※)でプログラミング実習もできます。

 

※Google Colaboratoryの目的と使い方はこちらから

https://sites.google.com/view/ipsjmooc/How2

 

7月29日の「1.基本的なプログラミング(Python入門)」を皮切りに、「アルゴリズム」「モデル化とシミュレーション」「情報システム」「セキュリティ」「データサイエンスの基礎」など8本の教材が順次公開されます。

 

7月28日に文部科学省で行われた記者発表から、情報処理学会教育担当理事の高橋尚子先生(國學院大學)のお話を紹介します。

 

高校教員研修用MOOC教材作成について

高橋尚子先生 (報処理学会教育担当理事・國學院大學)

情報Iの教員研修用教材に準拠

今回、新しい学習指導要領の「情報I」を始めるにあたって、まず高校の先生方が内容を理解されないと、先に進むことはできません。情報処理学会では、先生方になるべく負荷をかけることなくスキルを身に付けて、自信を持っていただけるようになる教材を作ろうということで、今回MOOC(Massive Open Online Courses)を作成しました。この内容は、文部科学省から公開されている情報Iの教員研修用教材(※1)

に沿ったもので、解説動画で講義を聞いて、実際にプログラミングの実習もできるものとなっています。

 

 ※1 ⾼校情報科「情報Ⅰ」教員研修⽤教材(本編)

 https://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/zyouhou/detail/1416756.htm

 

 

情報処理学会がこの教材を作った経緯についてご説明します。情報処理学会では、1970年代の後半から、大学の情報教育はどのようなことをしているのか、いかにあるべきか、ということについて調査・研究を行ってきました。海外の大学の情報教育についても調査し、大学における情報教育のカリキュラム標準を作るために、今から約30年前に「情報処理教育カリキュラム調査委員会」を立ち上げました。これが現在の「情報処理教育委員会」につながります。

 

 

この委員会の目的としては、情報処理教育カリキュラムをはじめ、教育の指針、方法、評価などを検討し、示すことで世の中に貢献する、ということでした。実際の活動としては、情報教育に関しての専門委員会を設けて、シンポジウムやセミナーといった啓蒙活動や提言を行っています。

 

この30年間で、9つの委員会と2つのワーキンググループを設けて活動しています(※2)。

 

※2 情報処理学会情報処理教育委員会

https://www.ipsj.or.jp/annai/committee/education/index.html

 

高校の先生の支援活動として、まず教員免許更新講習を実施しています。今年も8月にオンラインで実施することが決まっています。また、各自治体等で初等・中等教育の教員研修を行う際に、内容や目的に合わせて、最寄りの都道府県にいる専門知識を持つ講師を派遣することも行っています。

 

解説動画と実習教材の二本立て。教員だけでなく高校生・大学生の自習、社会人の学び直しにも

IPSJ MOOCは、解説動画実習教材の二つから成っています。解説動画は1本6~7分と隙間の時間にも見られるコンパクトなもので、こちらはYouTubeのIPSJチャンネルに上げてありますので、一般の方も見ることができます。

 

 

実習教材は、先生方のコンピュータに負荷をかけることがないよう、Google Colaboratoryというオンライン環境の中で実習できるようになっています。

 

また、これだけではプログラミングが世の中で実際にどのように使われているのか、ということがなかなかなかないので、企業の方にご協力いただいて、情報サービスや情報活用の様々な場面でプログラムが活用される場面がわかる短い映像資料も載せることになっています。

 

IPSJ MOOCは、教員向けとして作りましたが、高校生にもわかる内容や表現を使っているので、高校生自身が見て学習できます。さらに、大学生が大学に入ってからの学び直しや新入社員教育、中堅社員のリカレント教育にも使える内容になっています。

 

この教材の制作にあたっては、未来の学びコンソーシアムにご後援いただきました。さらに、こちらに

挙げた企業様からもご協賛・ご協力いただいています。

 

情報Iの教員研修教材は、4章構成になっていますが、このうち3章の「コンピュータとプログラミング、」4章の「情報通信ネットワークとデータの活用」が、特に初めて教える先生方にわかりにくい内容であると思います。

 

IPSJ MOOCでは、例えば3章は、「プログラミング入門」、「アルゴリズム」、「モデル化とシミュレーション」の三つのストーリーに分け、それぞれについて6~7分の動画を数本ずつ準備しています。3章は撮影が終了しており、7月29日にこの「プログラミング入門」を公開します。

 

このあと4章の五つのストーリーを撮影していきます。

 

 

 

各教材には、解説動画と実習の場面が交互に入っていますので、解説だけ見ていただいても、解説を見ながら実際に動かしてみられてもけっこうです。

 

動画は、大学の先生が内容を説明して、高校の先生が聞き手、というペアの掛け合いの形で進められます。制作にかかわった方の中には、もと企業で情報システムやネットワーク、セキュリティを扱った方もいらっしゃいます。

 

「情報I」の授業準備に、プログラミングやデータ活用の授業の素材に、ぜひご活用ください。