はたらく人に聞きました vol.2

世界中に買い物文化を

[卸売・小売業/情報ビジネス業編]

インターネットを武器に、日本人が、世界中に「買い物」の楽しさと、それを通した豊かさを広める開拓者になった。

一見 仁さん

楽天株式会社 楽天市場サービス開発・運用部 プロダクトマネジメントグループ


<2>どんなシステムが必要かを考え、仕事の流れを管理するプロデューサー

——具体的な役割を教えてください。

 

私はITエンジニアではなくプロデューサーという立場でシステム開発に携わりました。

 

WEB上にショッピングモールを作るということは、サイトを作るだけが仕事ではありません。先ほどお話ししたように、商品やお金の受け渡しの流れを作り、実行に移すのも仕事です。

 

サイトで言えば、利用する人(ここでは出店する店舗様や商品を買うお客様)の要望や想定される問題点を抽出し、開発するシステムの機能や画面の設計や、利用者の業務フロー(例えばお客様が商品を探して、決定して、支払方法を選択するなどの購入の流れ)の設計を文書上で行います。そして、それを実際にサイト上でシステムを作るエンジニアに説明し、エンジニアが作った画面をチェックします。

 

より多くのお客様にサイトに訪問していただき、一人でも多くの方に楽しくお買い物をしていただくために、システム開発側としては、サイトが完成してからも、新しい機能を考えたり、使う人の要望を聞いて使い勝手の改善をしたりもします。

 

そういったことを全体的に考え、スケジュール管理などもして、進めていくのがプロデューサーである、私の役割です。

 

システム開発の担当になり、社会人大学院へ

——入社以来、ずっと今のお仕事をされているのですか?

 

初めは新しくモールに出店していただく店舗を増やしたり、出店していただいた店舗様のサポートしたりする担当でした。その後、システム開発担当になりました。

 

システム開発担当となったことをきっかけに、夜間の社会人大学院でITを改めて学びました。定時の退社時刻のあと授業に出て、その後オフィスに戻って仕事をするという生活をしながら、何とか修士論文をまとめました。社会人大学院では様々なバックグラウンドをもった「同級生」と知り合うことができたのも良かったですね。卒業した今も月に1度くらいは大学の特別授業などに参加しています。

 

その後現在の業務に就く前に、システム開発の部署の人事を担当しました。このときは海外の大学生の採用も担当しました。インドや中国に行って、面接もしましたよ。 

 

自分の将来、家族の未来、社会の発展を考えて仕事に臨む海外の若者

——海外の大学生と日本の大学生とで違いはありますか?

 

海外の大学生の多くが「仕事を通して自分が成長することが自分の将来・家族の未来・社会の発展に結びついている」と考えているということです。日本の若者は親に頼る傾向が強いように思うのですが、それとは対照的ですね。採用する側としては、海外の学生のような人材が欲しいということになりますよね。現在の日本では同じような感覚を持つのは難しいと思いますが、それに代わる強い目的意識を持つことが大切です。

 

国際的なチームで仕事をする時代、英語はますます重要に

——楽天は、英語が社内公用語になったことが広く報道されましたが、英語は大切ですか?

マレーシアのプロジェクトではアメリカや中国の開発拠点のメンバーも参加しています。また、システム開発やテストの一部をインドの会社に発注しています。ここでは多様な国のメンバーが英語でコミュニケーションをとって仕事を進めています。ですから英語が社内の公用語になったことは、とても意義深いことです。

 

現地の言葉を覚えることが人間関係を築くコツ

インドネシアのショッピングモールのオープニングに現地社員が用意してくれたケーキ
インドネシアのショッピングモールのオープニングに現地社員が用意してくれたケーキ

——現地の方とコミュニケーションをとるのは大変ですか。

海外でのビジネスでは英語を使うのが一般的ですが、私はなるべくインドネシア語を使うようにしていました。実は大学時代にインドネシア語を選択していたんです。それもあってインドネシアのプロジェクトの担当者になったのだと思います。

一緒に仕事をする人と仕事を超えた関係を築くことはとても大切です。現地の言葉を話せると、彼らの嬉しいこと、困っていること、日常の問題意識もよく理解することができ、心の距離も縮まりました。一緒に仕事をしたインドネシアの方たちの中には、仕事が終わった今でもSkypeなどで連絡をとっている人もいるんですよ。仕事を離れてもお付き合いが続く関係性を、業務を通じて作り上げるのは、とても重要な能力だと思います。

昨年にはマレーシアでもインターネットのショッピングモールがオープンしましたが、マレーシアには華僑が多いので、簡単なフレーズからでも中国語を使うように心がけていました。積極的に現地の言葉を覚えて利用する努力をすることをお勧めします。

 

1日のスケジュール


※時差

サンフランシスコ:日本-16時間(サマータイム実施時)、

マレーシア:日本-1時間、

インドネシア(ジャカルタ):日本-2時間