研究7

今どきの中高生のスマホ・ソーシャル利用実態調査報告

~和光中高生1074人に聞きました

和光高等学校 小池則行先生


小池則行先生
小池則行先生

今大会直前の8月1日に、ネット依存症の中高生が全国で50万人以上、という衝撃的なニュースが流れました。スマホの急激な普及、子ども達のインターネットへの過剰なのめり込みは、学校現場でも様々な問題となっているようです。今大会でも、実態調査や情報モラルの取り組みなど、いろいろな角度からの発表が行われました。ポスターセッションで、美しいポスターで目を引いた、和光高校の小池先生の発表です。
 

LINEは8割の高校生が使用。料金は9割が親が支払う

この調査は、和光中学・高校の生徒を対象に今年5月に行ったものです。1074人が回答してくれました。まず、彼らが持っている端末ですが、スマホ率が伸びています。それも、Androidではなく、iPhone。調査した全体の半数近い405人が、iPhoneを使っています。

 

SNS・コミュニケーションツールでは、とにかくLINEの人気はどの学年でも圧倒的ですね。高校生で言えば、全体で80%がLINEをやっています(来場者の先生方からは、「うちの学校はもっと多い」「90%を超えているという実感だ」という声も聞かれました)。

 

端末の利用料金については、9割が親に払ってもらっていますが、金額を知らない生徒が半数近くいます。これでは、通信にお金がかかっているという実感がないのでしょうね。それなのに、端末の使い方について親と何らかの約束をしている生徒は3割くらいしかいません。ほぼ制約なしに使っている、という状態の生徒が多いですね。

 

セキュリティやモラルには無頓着。実名3割も

これだけSNS・コミュニケーションツールを使いこんでいるのであれば、当然のことながらセキュリティやモラルをどの程度意識しているかということが気になりますが、これが無頓着です。自分用の端末(パソコンも含む)にフィルタリングをしている生徒は4分の1以下。SNSの利用で実名を使っている生徒は3割近くいますし、実際に実名を使って危ない状況に遭ったことがある生徒もいます。

また、メールやコミュニケーションツールで、意思疎通の行き違いを経験したことがある生徒も3割近くいます。「言葉が足りない」「ネット上だときつい口調になる」ことから勘違いを招いたり喧嘩になったり、というのは、誰でも・いつでも陥ってしまうトラブルの入口なのでしょう。 

また、これだけ携帯端末でインターネットに親しんでいる生徒達ですが、PCはあまり得意ではない、というのも現実です。動画や音楽を楽しむためにある程度は使っているようですが。

この調査の結果から、本校の典型的な生徒はこんな感じになります。日本全体でみてもイマドキの生徒の典型もこのような感じになるでしょうか。

 

この実態を踏まえて今後考えていかなければならないのは、情報の授業でのデバイスの使い方です。日本の学校では、学校内への携帯の持ち込みや使用が禁止されているところが多いですが、これだけスマートフォンやタブレットが普及しているのですから、個人のデバイスの利用の可能性も検討する余地はあるのではないかと思います。この点については、今後いろいろな先生方のご意見をうかがって、考えていきたいと思っています。

※本記事は、全国高等学校情報教育研究会 第6回全国大会(2013年8月9日・10日、京都大学にて)でお話しされた内容です。